ミュージカル「フランケンシュタイン」2020年版~その2~

終わりましたね・・・2020年版フランケンシュタイン・・・。

あ、この記事はこれの続きです

ミュージカル「フランケンシュタイン」2020年版~その1~
ミュージカル「フランケンシュタイン」東京公演が終了し、一段落しております。再演版はより高い温度でジリジリと焼かれるような芝居になっていると感じました。

2020年2月24日、大千穐楽でした

 

初演に続き、大千穐楽を観られなかったわたくし。それだけが心残り・・・

しかし堪能いたしました。

楽しませてくれてありがとう、キャスト・スタッフの皆さん!!(届け叫び声

語りたいことがたくさんあったんですけど、もはや抜け殻。

とてもじゃないけど整理された文章を書けそうにない。しかし書かないでいるのも不本意。

散漫に思いつくまま、わたくし個人の主観と解釈で書いていこうと思いますわ!

怪物にはアンリの記憶があるのか

アンリとしての意識や記憶が、怪物の中にあるのかどうか、ってのは様々解釈できるところだと思う。

私は怪物の中にハッキリと「アンリとしての自覚」はないと思うのよね。

ただ、脳はアンリなので、資質はそのままアンリのもの。

優秀だし、命が大事なものという感覚もあるんだろうと。

敵兵さえ救おうとしていたアンリと、闘技場で倒した相手にとどめを刺さない怪物はリンクするよね。

怪物にとってはアンリとしての意識は「前世の記憶」とも言うべきものなのかなと思う。

ピースをはめていくように、少しずつ、かつての体験や感情が浮かんで来たんじゃないのかな。

たとえば文字を認識できなくとも、ノートに書かれたビクターの文字を見て何か懐かしい、切ない感じがするとかさ。

それが「懐かしいという感情」だとは、その時の怪物にはわからなくても。

怪物は理不尽に虐げられたことで生み出されたこと自体に怒り、復讐を誓う。

でもビクターについて、人について深く知るうちに、どうしようもなく湧き上がる感情があったんだろうと思うのよ。

憎いのに、勝手に熱くこみ上げるこの感情はなんだろう?みたいな感じが続いて最終的に、

「ともだち」

という単語が口から出て、その時にかつて自分はアンリという人間だったんだ、と認めるというか。

でもアンリとして自覚があるわけじゃなく、その時点でもあくまでも自我は怪物。

アンリだったけど、今ここにいる自分はアンリじゃない。

しかもビクターに復讐を誓った時点で、自ら本当に「怪物」になってるんだよね・・・その前はルンゲをやり過ぎで殺しちゃった以外に、無益な殺生はしてないわけだから。

「傷」は怪物として生まれたわけじゃないのに、人によって怪物に堕ちてしまった自分を認識した曲だと思ってます。

「信じる」がキーワード

フランケンシュタインって、「信じる」って言葉や態度が、かなり頻繁に出てくるのよね。

ビクターは自らの研究が意味のあるものだと信じてる。アンリはそんなビクターの信念を信じてる。信じてみたい、という表現ではあるけど。

ジュリアもビクターの選んだ道を信じてる。エレンもルンゲもビクターは特別だと信じてる。

「信じる」って気持ちは美しいように思うけど、実はちょっと危うかったりもする。

事実がどうかより、信じる気持ちの方が大きくなっちゃうと「盲信」に繋がる。

それは村人たちがビクターを怖がる気持ちにも通じるでしょう?

あいつは魔女だと、断罪してしかるべきと思い込んじゃう心理。

お芝居観てると展開が急すぎて「おおっ」てなるけど、このあたりの心理はリアルにあるものだから、怖いよね。

ちょっとズレた話だけど、怪物もある意味、ビクターを信じてるように感じる。北極でビクターを待つと言って、必ず来ると信じてる。

自分を仕留めない限り、ひとりで死にはしないと。

「信じる」って気持ちの美しさとグロテスクさが、そちらこちらに散らばったお芝居だったな、と思います。

ビクターの内にあるものは

生命そのものを生み出そうとしている、とは言いつつ、ビクターが目指しているのは「生き返り」つまりその人が、その人格のまま蘇生すること。

お母さんも、ジュリアの犬も、アンリも、エレンも蘇生させたかった・・・けど一度も成功してない(悲)

母を亡くした悲しみが元々の出発点だけど、父親にもどうにもできなかったことは、もう分かってるはず。

でも死によって自分から奪われてしまった人を取り戻そうとする、それがビクターの研究への原動力。

加えて、アンリが自ら差し出した命と頭部を絶対にムダにできなかった。

ビクターの実験が成功することこそ、アンリが生きた意味になって
アンリがその命を差し出したことでビクターは神の領域に踏み込んだ

だからこそ、生まれた命は絶対にアンリでなければならなかったのよね・・・

キャストの皆様ほんとうに!お疲れさまでした

主要キャストさんたちも全員2役演じるってんで大変!!てなるけど、アンサンブルさんたちは2役どころじゃないわけで。

上演時間中、全力疾走状態だよね?と思いつつ観てました。プロフェッショナルってすごい・・・マジ尊敬するわ

キャストさんごとに印象を書いておこうかな~ビクター・アンリの4人は前の記事にも書きましたんで軽く。

中川晃教さん

ますますもって見事な歌唱でございました・・・途中、体調不良かなと感じる回もあったようですが、ミュージカル界有数の歌唱力であることは疑いようもなく。

ジャックの時に怪物をいたぶる前にステッキで素振りしてたり、エヴァにおびえてたりするのが可愛くて笑ったw

柿澤勇人さん

歌も芝居も凄くうまくなってて、今回のフランケンでは柿澤ビクターにやられることが多かった・・・泣く芝居ズルいよ・・・!

初演のジャックはゲスくてエグいだけでしたが再演のジャックは怖かった。

加藤和樹さん

遼生狂いなもんで和樹くん回は2回しか観てないんですけど(ごめんね)、アンリの造形が全く違ってて面白かった。

年若いながら達観してる感じもあって。遼生アンリより深く「人に絶望してる」感じがあったなぁ。

裁判長がビクターの証言を却下する時も、「ほらね、人なんてこんなものでしょ」って思ってるみたいに感じた。

ところどころ短くフッと息をついたり、ニッと笑ったりするとき「諦念」が漂う。

小西遼生さん

初演よりかなり深く潜ってる感がありつつ、軽やかに演じて見えました。ビクター(特に晃ビク)に対しての包容力がハンパない。

初演はビクターとアンリの共依存的印象があったんだけど、今回はあまり感じなかったな。研究に関してはビクターが主だけど、他のことでは半歩くらい上にいる、というか大人で人格者な感じ。

アンリの軍服姿の股下がおかしい ←今にはじまったことじゃない

怪物の扮装でも美しいのがさすがです(和樹くんもだけど)

音月桂さん

桂ちゃんはカトリーヌの存在感がすごくて、カーテンコールでジュリアの扮装で出てくるのが違和感あるくらい(笑)

ジュリアも可憐でステキだけどね!オフショルダーのドレスを着てるときの、肌の美しさよ・・・

2幕の最初、ビクターに「ふたりでいる時くらいは私を見て」のジュリアの台詞が、柿ビクターに対しての言い方と晃ビクターに対する言い方が全く違ってたのが印象的。

柿ビクターには悲しそうに、晃ビクターには言い聞かせるように言うのね。

あの一場面だけで、ビクターの精神的な強さが違って見えるのが面白かったです。

カトリーヌの「生き抜きたい」という原始的な欲というか、生き物としての本能がビシビシこっちに響くあの一曲がもう凄くて。

普通にキレイでちょっと歌える、くらいの女優さんじゃ担えない役どころだよね。シングルキャストだし。

そんでね、個人的にですけど、あの悲惨で悲壮なカトリーヌを、地が太陽のように明るい印象の桂ちゃんが演じることで、救いを感じられた部分もあるんですよ。

なのでジュリア・カトリーヌが桂ちゃんで本当に良かったと思ってます。

露崎春女さん

この作品でミュージカルデビューとか!!これをこなした今、敵なしじゃなかろうか。

エヴァは最初からハマッてるなーという感じだったし、エレンも初めのほうこそ必死さが漂ってたけど、あっという間に表情も豊かになり泣かされた・・・

初演のめぐさんのとにかく優しい、マリア様みたいな姉さんも好きでしたが、露崎さんの気の強さがただよう姉さんも好きだったわん。

千穐楽近くなるにつれ、エヴァのエグさも活き活きと演じておられました(笑)

他のミュ作品でもお目にかかれますように♪

鈴木壮麻さん

品があり慈愛に満ちてるけど、ビクターのことになると常軌を逸してるルンゲを演じられるのは壮麻さんの他におるまい。

アンリがビクターの罪をかぶると言った、と説明してる時に嬉しそうに笑うのがなんともいえず不気味で悲しい。

ビクターさえ無事なら、それ以上の事には考えが至らない従者、って表現のようで。

そういえば、エレンがビクターに「なぜ自首しないの」と詰め寄っている時、階段のところの花にライトが当たって、それをルンゲが見つめてるみたいだった。

誰かに死が近づくとクローズアップされる「花」と、照明で舞台に落ちる「十字架」。

ルンゲが登場するシーンに多かったように思う。

その後エレンが「まさかあなた、アンリの首が欲しいの」と半ば確信して言う時に、初めてアンリの目論みに気づいて崩れ落ちる。ように見えたのよ。

あれって、ビクターとアンリの結びつきが、自分には想像もできなかったほど強烈なものだ、と感じての崩れ落ちに感じられて苦しかった~!

あ、あとイゴールの時の動きがファンキーで可愛かったw

品のないこと(鼻ほじったりさ)してても、壮麻さんだと嫌悪感ないのね(笑)

相島一之さん

ステファン市長が上品でどっしりしてて、見た目もステキだったのでホレボレ(笑)

最初の登場時、ジュリアがエレンと一緒に「ビクターは天才!」って歌ってる時のやるせないお顔。うまいなーと思いながら観てました。

フェルナンドがカトリーヌをそそのかす時の声色の変化も好きだったな~。シーンとした中での場を締める声。

柿澤ジャックとのやりとりはしつこかったけどね(笑)

あ、そういえば大阪公演で、チャーバヤ役の後藤さんがお誕生日だったのを、やり取りにうまく取り込んでくれて楽しかった♪

 

主要キャストで大変な文字数になってしまった・・・(汗)

アンサンブルさんたちについても書きたいのでまた次の記事で!

 

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続きはこちらです

ミュージカル「フランケンシュタイン」2020年版~その3~
ミュージカルフランケンシュタインは本当にアンサンブルさんたちの力量を感じるお芝居でした。それぞれの方について、感じたところを書いていきます~お疲れさまでした!
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