ミュージカル「スリル・ミー」2021年版を観てきました

出演者が誰であろうと、上演されたら必ず観ると決めている演目、それが「スリル・ミー」。

2021年も上演される、し・か・も上演10周年記念で伝説の初演ペア

新納慎也さん×田代万里生さん

の上演もある!!

発表時の大騒ぎったらなかったよね(笑)

 

2013年までは、演目名となんとなくのあらすじしか知らず観たことがなかった私。

今になってこのペアを観ることが叶うとは・・・!ホリプロさんありがとう、ありがとう(感涙

私の初スリル・ミーは2014年版でした。

その時の記事はこちら。あらすじもこちらでご覧になってん

 

2018-2019年版も両ペア(柿澤さん×松下さん&福士さん×成河さん)観たんですけど、感想記事は書いてなかったのね私。

なんか絶句してるし

なんかエラそうに言ってる ←

 

さて、今期のスリル・ミーは新納さん万里生くんペアの他に、前回に続いての福士誠治さん×成河さん、今回の新ペア!山崎大輝さん×松岡広大さんの上演。

どのペアも観たい・・・しかし、以前のようには出歩けなくなった今。

私の愛する小西遼生さんの出演作(ミュージカルGOYA)と上演時期がかぶってて時間の捻出が・・・

と悩みに悩んだ結果、結局3ペアとも観に行きました☆(悩んだ時間のムダだったw)

演出やあらすじはご存じの前提で、それぞれのペアから感じたものを書いていこうと思います~

まだ観てない!って人は今すぐブラウザバック推奨。できれば観てから読んでね!

粗削りかと思いきや、裏切られた新ペア

なんせ若い、23歳と25歳の松岡さん山崎さんペア。

失礼ながら

「熟練の演劇人が演じるスリル・ミーとは違って、粗削りなんだろうな~だがそれもまたよいよい」

などと気楽に見始めたわたくし。

しょっぱなから裏切られましたわ。

50代になった「私」が客席から登場しますが、その時の私のお席がちょうど最後列で、スタンバイした松岡さんが真横に来たんですけどね。

真っ暗闇のなか、ピアノの旋律に紛れて聞こえてきたのが、疲れ果てたため息。

これから始まる芝居のためにスタンバった役者ではなく、年老いて立っているのもしんどくなった「私」としてそこに存在していました。

ごとんごとんと靴を落とすようにして通路を進む姿は、実年齢よりもずっと老け込んでしまった男そのもの。

そして第一声「座って構いませんか」で、もう!

わたくし椅子の上で座り直しました。気楽に観てたら間違うぞコレ!

 

山崎さんやファンの方には申し訳ないんですが、率直に言ってこのペアは松岡さんが凄かった。

「お顔は良知真次さんにちょっと似てるし、歌声は松下洸平さんに似てる」

という印象もありましたが、芝居は誰にも似ていない。

女の子みたいな声色で話したり、動きもなよなよしたりするんだけど、内面が強烈に男。

これまで観た中では成河くんに次いで男らしい「私」だと感じました。

男らしさの定義も人によって違いがあると思うけど、この場合は

「相手の顔色をうかがっているようで、実は忖度していない」

ってこと。

怖がったり慌てたりするけど、瞬時に先を読み、最善の手を打つと決めてる静けさを感じる。

その表情、特に目つきの変わりようがすごい!

ハンターですな。

見た目が可愛らしいだけに、そのギャップにゾッとします。

 

山崎さんはセリフは良いんですが歌の説得力が弱く。ピアノの旋律のエモーショナルさに負けてしまう時がありました。

あと、なぜか歌うときだけ「が」や「お」の発音が「んが」「ぅお」になっちゃうのが気になる。

このへんはまだまだ伸びしろよね。

歩き回ったり走ったりする姿は自然で良かった。前半のことさらなイイ男ぶりより、ダメさがむき出しになる後半の方が良き。

背が高くガッシリしてるのも若々しい「彼」でいい感じ。

松岡さんとの身長差がたまりません!

同じ組み合わせで再演されるといいな。先が楽しみと思えるペアでした。

あ、そういえばピアノは篠塚祐伴さんでした。ピアニストさんお三方の中で、いちばん優雅な印象でしたね~。

感情移入しやすくなった成河さん福士さんペア

今回のおふたりは、初登場だった2018-2019年版よりずっと取っつきやすくなったという印象。

こちらが初めてじゃないから、というのもあるとは思うんですが、前回の

「受け手側が裏読みに走りたくなるむやみな芝居IQの高さ」(伝われ

が薄まったと感じました。

 

前はなんかこう、サイコパス気味だったと思うんです。福士さんの「彼」はずっと幻みたいだったし。

今回は「理解不能!!」という怖さは少なくて(なくはない)、とてもスリリング。

ピアノが落合崇史さんだったのも関係してそう。私、公演を落合さんのピアノで観るのは初めてだった(と思う)。

全く違うんで驚きました!

なんか硬い。硬派なのよ音が。

そして旋律が前に出るときと、背後に潜んでる時の違いがクッキリしてて、

「ああピアノが3人目のキャストってこういうことなのね」

と感動しましたわ!

 

しかし芝居がとっつきやすい印象になったからといって、一筋縄ではいかないのがこのペア。

私は昔から観ているわけではないんですけど、それでも何度か観てるんで、自分の中に「スリル・ミーの世界」ってあるわけですよ。

こういうセリフがこういう調子で発せられて、ピアノがこう入ってきて、観ている自分はそのとき、こんな感じの気分になる。という流れがね。

しかしこのペアはその「いったん出来上がったスリル・ミー世界の扉」を、閉じさせてくれないの。

セリフの抑揚、強弱、表情が、こちらの予測した範疇を超えて差し出される。

パカパカと作品世界の扉を開き尽くしたつもりになって、

「よーし、もう奥に扉は無いぞ」

と思ってると、真っ暗な中にノブだけが光って見えるような。

「あれ?まだ(解釈の)先があるの・・・?」

そんな気分になる。

で、終演後発したのがこちらです

もうね、屈服に近い気持ちだったのですw

 

このペアの芝居で感じるのはパワーゲーム。「彼」と「私」の攻守・主導権のシーソーゲームが見えます。

ふたりとも富豪の息子で成績優秀、端から見れば何不自由なく、将来も明るいものに違いないはずの青年たち。

なんだけど、それぞれに不満や渇望するものがあり。

特に「私」にとっていちばん手に入れたい「彼」は、その行動が予測不能。

そこがきっとスリル・ミー(ぞくぞくさせて)なんだろうなぁ。

他の、たぶん同じ階級や、話が通じる程度には頭脳もある人たちなら絶対やらないようなことをやる「彼」。

僕のこと見えてる?くらいに眼中にない扱いをしながら、実はひとりでは何もやらない「彼」。

その彼に魅入られているからこそ道を踏み外してるのに、そのことがイマイチ認識できてない「私」。

人との関係は家族にしろ恋人にしろ友だちにしろ、優位であることが固定されはしない。

資本主義の中で成功者の立場しか知らない2人には、それが分からなかったのではないか。

お互いが相手より上に立ち、コントロールしようと悪戦苦闘した結果、勝負はついたけど永遠に彼を失うことになる。

悲しい───

と思ったのも一瞬ですよ。

ラストもラスト、「彼」の姿がフッと消えた階段上から、こちらに顔を向け「♪スリル・ミー」のあと、顔に強くライトを浴び

うっすら笑う!!

あーコイツぜんっぜん後悔してねぇ、少年にしたことは悔いてるし反省もしてるけど、それと「彼」とのパワーゲームに勝ったことは別だ!

「勝者は僕だ 永遠にきみを誰にも獲られない」

こ わ い よ!!

本気で腰が抜けるかと思いましたよ・・・。

まぁ、成河くん「私」はしょっぱなから怖いんですけどね~

「何が知りたい」

マジのけぞる怖さだしw

「私」役の方は皆さん、54歳から19歳当時へと時空を行き来するわけですが、成河くんの変わり身は

「年寄りの着ぐるみを脱ぎ着してるのか?!」

と思うほどですわ!

終演後には爆発のような拍手が起きました

えらいことだった。エエもん見してもらいました(拝

そうか「愛」だ!と震えた初演ペア

伝説の初演ペア、新納慎也さん×田代万里生さんペア。

観られる日が来るとは思いませんでした!長生きはするもんですね・・・(大げさ

ピアノは朴勝哲さんでした♪

 

万里生さんの「私」は2014年の伊礼彼方さんとのペアで観てまして、その時ちょっと意外で驚いたのが

「万里生さんの「私」エロい」

ってことだったんですよ。

「彼」が抱きかかえてくれる時に全身の力が抜けて陶然とするあの感じ、

「万里生さん上級女子なの??」

と思うくらい色っぽかったのよ。

そういう役作りなのね~くらいに思ってました。あの時は。

 

さてそれで今回ですよ。

新納さんの「彼」はシュッとスマートで超ステキ。クラシックでノーブル。

現れた瞬間、「着こなし」という言葉がゴシック体で脳内を流れていきました。

スーツ姿のカッコ良さは最愛の推し(小西遼生さん)を超えるかもしれない・・・。

登場時はクールだけど、そこまで「私」に冷たい感じでもない。スンッとした感情の乏しい人みたいに見えるなー

と、思ってたら突然、幼児じみた感情爆発を見せるので油断できません(震)

万里生さんが要所要所で発する超音波みたいな悲鳴(さすがの美声)との合わせ技で、見慣れていてもビビります。

 

そうそう、感情爆発で印象的だったのは、父親の事務所を狙おう、金庫の鍵はどうせ弟の誕生日だろうってとこ。

どの「彼」もここは皆、悔しさ憎々しさが溢れますけど、新納さんの「彼」はそれに加えて、すさまじいほどの哀しみを感じるんですよ。

もう、地団駄踏んで泣き出すんじゃないかと思うくらいの悔しさと哀しさ。

今まで観たどの「彼」からも感じなかった、「誰にも真剣には理解されず愛されない」明確な寂しい想いをビシビシ感じて、もうそこからですよ!

愛おしい!!

どんなドヤってようが自分勝手で情けないことやってようが、もう可愛くてしょうがないの。「彼」。

なにこれ?って戸惑った。

 

もうひとつ、新納さんの「彼」しかやらないことがあり。

「私」に対する愛撫がエグい(言い方

「最初のキスの時、「口開けろ舌だせ」みたいなジェスチャーするよ~」

とは聞いておりました。ええ。聞いたとおりでした。

しかし捕まってからのキスの時、万里生さんの耳をべろーんと舐めるとは知りませんでした(ギョッとした)

ですがまぁ、それは「彼」の品のない懐柔方法を表現したものと思ってました。ええ。

「私」が種明かししたときの、新納さん「彼」の表情を観るまではね。

 

愕然としたあと、感極まった顔をするんです。

嬉しそうに!!

驚愕したけど色んなことがいっぺんに「ああ!」ってなって、

そうかだからこれが「愛の物語」って解釈になるのか!

と思いました。

「彼」は社交的で人気者だけど、彼自身、それは虚像を作ってるからだ、と分かってる。

自分の本質は「私」と家族以外知らず、知った家族には疎まれているわけで。

「私」は自分に執着してるけど、それは自分の外見や性的魅力に対してだ、と思ってる。

だからきわどいんですよ、愛撫が。

他につきまとう理由がないと思ってるから。自信がないから。

魅力の誇示じゃなかった。必死なんです。

でも種明かしされて、「究極に惨めな自分」であっても、自らも破滅してまで共にいることを欲した「私」に、初めて「愛されている」と実感するんです。

望まない転落のどん底で、彼が求めて止まなかった「愛されること」が差し出された瞬間。

あの刹那、彼は確実に幸福でした。

揺さぶられました!

万里生さんの「私」が究極に色っぽいのも、「彼」が「こいつにとって自分の価値はそれだけ」だと思ってるからではないかしら。

「私」という役柄をそう作ってるというより、「彼」の思考がきわどい愛撫に現れて、結果そうなるという。

 

しかし万里生さん「私」は怖い。誰がやっても怖いんだけど、万里生さんのは母性を感じるので、女としては理解できる感覚でもあるのが怖いw

なんだか息子に執着する母親みたいにも感じる。

すべてを受け入れてあげる。すべてを注いであげる。

だから私のものでいなさい・・・怖ッ

 

歌の表現が極上なうえに、芝居が強い。

最高でしたー!

 

勝手な解釈で長々と書いてしまいましたわ~スリル・ミーはいいよね!

いくらでも語れるw

こんな状況じゃなかったら、全国行脚してでも見続けたかったな。

しかしきっと今後も上演され続けるでしょうからね。

その時のために気力体力維持に努めます~

 

***** 追記 *****

なんと前代未聞!全ペア配信上演されます!!

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