舞台「君子無朋」を観てきました

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佐々木蔵之介さんが主宰する演劇ユニットTeam申5回目の本公演、「君子無朋(くんしにともなし)」を観てきました。

実はわたくし、蔵之介さんが演劇ユニットを主宰されてることも知らなかったんですけどね・・・w

すっごく良かったです。面白かった~

あらすじ

中華の都・北京の大清帝国の王宮、紫禁城の王宮半分を占める「後宮」は、皇帝以外の男子禁制の場所。
妃たちと、去勢され男性機能を失った宦官しか出入りできない場所である。
雍正13年の夏、ひとりの男が第5代皇帝、雍正帝(ようせいてい・佐々木蔵之介さん)に招じ入れられそこへ忍び込んできた。
彼は雲南の地方官であるオルク(中村蒼さん)。
これまで書簡のやりとりしかしたことがなかった雍正帝の元へ参じたオルクは、皇帝の暴言・無茶な要求に不信と怒りでいっぱいだった。
しかし密室での対話が進むにつれ、雍正帝の目指すもの、独裁の理由がわかりはじめ───

壮大な歴史の中に存在した、引きこもり皇帝

改めて考えると、中国皇帝の話・・・ってあまり知らないなーと。

キングダムは読んでるし、映画のラスト・エンペラーは好き。くらいのもので。

それらの作品が人気を博す前は、西太后とか楊貴妃とかの方が有名だったような?

三国志はまた、時代が違うんでしょうか。いやもう、ホント全く分からないや(笑)

雍正帝という皇帝がいたことも、知りませんでした。

 

この舞台作品も、そもそも蔵之介さんが出演されたドキュメンタリー番組がきっかけで作られたのだそう。

その番組で知った雍正帝のあまりの興味深さ、面白さに触発された蔵之介さんが、ぜひ舞台作品にしたいと考えて実現されたのだとか。

そんないきさつがすっごく腑に落ちる、本当に「え、こんな皇帝がいたなんて」と思うような人なんですよ、雍正帝。

もーーね、究極にパワハラ&モラハラ。受け答えがいちいち、腹立たしい事この上ないw

それまでは地方官の嘆願なり報告なりを各所重臣が受け、重臣同士で根回し調整の上皇帝にお耳うち、というふうに運営されていた。

それを雍正帝は、書簡でとはいえ地方官と直にやりとりすることにしたのね。

しかも、途中で誰かに読まれたり書き換えられたりしないよう、各地方官と雍正帝だけが鍵を持っている箱に入れて。

この「誰も信用ならぬ」って姿勢もすごいし、残された何千通というお手紙に書かれた罵詈雑言のすさまじさったらもう。

お芝居だから笑って観たりできるけど、自分の職場だったら(しかも相手はこっちの命も簡単に奪える立場)命がいくつあっても足りないわ。

もっとも、雍正帝は紫禁城に引きこもって昼夜を問わず執政し、過労で亡くなったと言われているそうで、ストレスが大きかったのはお互い様だったのかも知れませんけども。

後半へ進むにつれて人間的魅力が増していく

とにかく始めのうちはイヤなヤツでしかない雍正帝ですが、蔵之介さんが演じてるとなんだかチャーミング。

罵詈雑言のウイットに富んでて知的。なんだかユーモラスでもある。雍正帝自身が、そういう人だったようですけどね。

蔵之介さんのお茶目さと、冷酷さを表現するときの凄みが、役にぴっったりハマってました!

 

このままイヤなヤツで終わるわけない・・・と思っていたら、想像以上に深遠な思慮に行き当たり、その孤独と崇高さに感動します。

責を負うということ、決断するということ。その身の奥深くに鎮座している「決意」に、国を治め民を守るとはこういうことか、と深い感銘を受けました。

ぜひ我が国の代表者たちにも観て欲しいものですわ。

 

雍正帝が目指したのは、政治に関わる者すべてが高水準な世界。

なんとなく、ではなく正確無比に。執政者すべてが勤勉で向上心を持ち、国のために心身すべてを捧げるべし。

そういう部下たちを育て、次世代に残すために、自らがすべての責務を負い働いた皇帝だったのです。

冲方丁さんの小説「光圀伝」にも、こういう思想が繰り返し出てきたなぁ・・・と思い出しました。

 

このお芝居ね、地方官と雍正帝の書簡のやりとり、を表現してる時間があるからなのか、普通のお芝居とちょっと違う印象があるんですよ。

なんというか、講談を聞いているような感じ。

役者さん同士が向き合って会話する方が長いし多いはずなのに。不思議。蔵之介さんのひとり台詞が多いせいもあるのかな?

2時間ノンストップなんですが、一瞬たりとも退屈じゃありませんでした。

たった5人の出演者なのに、濃くて濃くて(笑)

 

巻物が垂れ下がってるようなセットも良かったな~。

なじみのない題材でしたが面白かった。パンフレットにも紹介されていた雍正帝の本は、ぜひ読んでみたいと思います!

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