ミュージカル「ピーターパン」を観てきました

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ホリプロさんが毎年夏に上演し続けてきたミュージカル「ピーターパン」。

息子の初ミュージカルはこれか、ライオンキングかで迷い、「劇団四季も観てみたい」という理由でライオンキングに。

あの時ピーターパンを選んでいたら、その後毎年観てたかもしれないわ~。

観るのが遅すぎた、とちょっと思っております今w

※スペシャルカーテンコールで撮影OKでした

そんなピーターパンを今回観に行くことにしたのは、そうです私の愛する小西遼生さんがフック船長/ダーリング氏役で出演されているからでございます。

森新太郎さん演出だしね!

あらすじ

ダーリング夫妻にはウェンディ、ジョン、マイケルの3人の子どもがいました。乳母のナナはとても賢い犬で、子どもたちをしっかりしつけ、守っています。

ある日、ダーリング夫妻が晩餐会に行った夜のこと。子どもたちが寝ている部屋に、空を飛べる不思議な少年が、妖精と共にやってきます。

彼はピーターパン。先日、ちぎれてしまいこの部屋に置いてきた自分の影法師を取りに戻しに来たのです。でも、見つけた影法師は彼の足にくっついてくれませんでした。

目覚めたウェンディが影を縫い付けてあげると、たちまちふたりは意気投合します。

ピーターの住むネバーランドに興味をそそられたウェンディは、弟のジョン・マイケルと共に、ネバーランドへ行くことにしました。

そこにはピーターの仲間の子どもたちと、森の住人とそのリーダーのタイガーリリー、そしてフック船長率いる海賊たちも住んでいました。

フック船長は、以前自分の手を切り落としたピーターと、その仲間たちをなんとかしてやっつけたいと思っています。

ネバーランドに到着したウェンディは、子どもたちのお母さんを楽しげに務めていましたが、やがてお家に帰りたくなりました。

仲間の子どもたちもウェンディと行いくことになり、ピーターはひとり残ることにします。

そんな時、ピーターたちがウェンディという「お母さん」を得たことを知ったフック船長は、ウェンディと子どもたちをさらいます。

ピーターは海賊船にウェンディたちを取り戻しに行き、海賊たちに勝ちました。

ウェンディと子どもたちが家に帰ってから長い時間が経ったころ、ピーターがまたウェンディの元に表れました。

ウェンディが大人になり、もう飛べないと言うとピーターは悲しみますが、ウェンディの娘のジェーンがネバーランドへ行くことになり、ふたりは飛び立つのでした。

 

演出が森新太郎さんってことで、「きっとこっちの痛いとこをグリグリ突いてくるに違いないわ」と思ってました。

ええ、正直思い込んでましたとも。しかし実際に観ると意外にも(失礼)素直に楽しんでいいんだ!と確信できる。めっちゃ喜んで観てました~

いや、深読みしようと思えばいくらでもできるのよ。そういう戯曲だと思うし。でも、

「そういう縫い目をひっくり返して生地の裏を見る、みたいなことより、純粋に楽しい!って思えることを喜びましょうよ」

って言われたような気がしたのです。

本当に楽しかった~仕掛けが分かってても、びゅーん!って飛びあがるとわぁぁ!って高揚しちゃうよね~!

原作ともディズニーアニメとも違う、ステージならではの夢の国

ピーターパンって、ディズニーアニメがあまりにも有名で、「そういや原作読んだことないわ」って状態の人が多そう。

アニメ世界名作劇場があまりにも良い出来で「家なき子」とか「フランダースの犬」とか、知ってるけど読んだことない、ってのと似てる気がする(決めつけてみた

見ていて思ったんですけど、あえて全部説明しないことで、原作を読んでみたいと感じさせてるのかな?

たとえば、ウェンディがグッタリと「かわいそうなウェンディ・・・」と言いつつネバーランドに到着するのはなぜ?とか。

ウェンディたちだけでなく、仲間の子どもたちがみんなダーリング夫妻のところへ行きたがった時、「君たちはお母さんを見つけて、好きになれるといいね」とピーターが皮肉に言うのはなぜか、とかね。

原作が読みたくなる人も多いんじゃないかと思う。かくいう私も読み返しました。

ほぼほぼ忘れてて、新鮮な気持ちで読めましたわw

ただ、ラスト近くの一文は強烈に残っていて、その記憶はずっとあったの。だからなのか

「ピーターパンは寂しい物語」

という印象がずっとありました。

 

ディズニーのピーターパンは完全無欠のヒーロー的キャラクターですよね。

原作(といっても私は「ピーター・パンとウェンディ」しか知りませんが)ではなかなかの暴君で、イヤなところもたくさんあるヤツ。

舞台版のピーターパンは、そのどちらとも違うのね。純粋で勇敢、賢く元気いっぱい、そして気分がくるくる変わる。

ステージならではの造型で、素直に大好きになれちゃいます!

息子が小さかった頃とのこと、自分が子どもだった時のことを思い出す

もう、自分の子ども時代よりも息子の子ども時代を思い出す方が容易になったわたくし。

ピーターやロストボーイズ、タイガーリリーたちの「常時フルスロットル」状態を懐かしく感じたわ~!そうそう、子どもってそうよねって。

ペース配分なんて考えないから全力フルパワーで遊びまくって、突然電池切れでバタッと寝落ちたりさ。

息子が小さい時、ちょっと目を離したら 大好きな電車を両手に握りしめたままプラレールの上に寝落ちて顔にレール幅の筋をつけてたのを思い出しましたw

個人差があるとは思うけど、子どもはたいていちょっとのことでも飛び上がって喜んだり全身で泣いたりして、

「そんなにフルパワー放電してて大丈夫なのか・・・?!」

ってなるよね~。

ステージ上の子どもたち(演じてるのはほとんどが大人だけど)もホントそんな感じで。

動きが大きく弾けつつも、台詞や状況を補完する細かい動きもあって、皆さん本当に素晴らしかったわ~

 

遠い遠い自分の子ども時代を思い出すことも。

この舞台ってセットもすごくシンプル。ネバーランドの人魚や動物たちはダチョウを除いて平面だしw(これがまた味がある)。

夜空を飛んでネバーランドへ向かう場面も、布一枚で表現されてて、自分が子どものころに見たお芝居を思い出したのね。

小さな公民館で、趣味でお芝居をやってるような地元のお兄さん・お姉さんが夏休みになると見せてくれたお芝居を。

背景なんて段ボールにケント紙貼って作られてて、立てかけてあるだけだから強い風が吹き込んでくると滑ったり倒れたりして(笑)

でもそんな「現実」なんてどうでもよくて、夢中で見たなぁ。不満も不足も感じなかった。自分の感性がすべてだった。

見たいものを見たいように見る、その集中もまた、子どもならではのチカラだったよなぁと懐かしく思ったりしました。

Twitterでホリプロの堀社長が、このバージョンは賛否両論あるだろうとおっしゃってましたが、わたくし的には大絶賛しかありません。

咲良ピーターのうまさにビックリ

17歳にして4回目のピーターパンを演じる吉柳咲良ちゃんは、生で観るのは今回初めてでした。

いやーーーーうまいよね!

鐘のように響く声が本当に気持ち良くて、しかもワイヤーで釣られて振り回されながら歌うのに、声がぶれたりも全然しない。

そしてずーっと歌いっぱなし。すごい!

元気はつらつ、いっときもジッとしてないピーターで、これは本当に若くないと出来ない役だと思った(笑)

脳天気ながらも悩ましい感情が渦巻いてるなーって感じられる表情もあり、丁寧なお芝居に好感がもてました。

今後どんどん大ミュージカルに出るようになるんでしょうね~楽しみだなぁ!

劇場で観ていたちびっ子たちが「みどりのお兄ちゃん」とか言ってたのが印象的。本当に男の子に見えるのよ。

 

タイガーリリーの宮澤佐江さんのダンスも素敵だったし、ウェンディ役の美山加恋ちゃんも表情がくるくる変わって楽しいたのしい。

ウェンディもピーターに負けず劣らずのハイカロリー消費&ハイテンション。

このお話ってウェンディが成長する話でもあるので、彼女の変化からは目が離せなくなります。

ダーリング夫人とダチョウを演じた瀬戸カトリーヌさん、お美しいだけでなくサバサバした印象でとっても素敵なママ(そしてダチョウ)でした。

作中、ちゃんとした大人はこのダーリング夫人だけっていうのがジワるところ
(ダーリング氏はめっちゃ大人げないのです)w

そういえばピーターの仲間、ロストボーイズね。私、最初のうちは何人か男の子が混ざってるように思ってました。

はい、全員女優さんでしたw

ピーターに負けず劣らずのカロリー消費の烈しさで、生命力が舞台からこぼれ落ちそう。

何回か観てるうちに、「あれっ動きを足した?」と思うところがあって、本当に伝わりやすく、丁寧に演じてるなぁと感心。

全国ツアーもこれからですけど、大千穐楽まで元気いっぱいに演じて欲しいです。

 

海賊さんたちもみんな憎めなくて可愛い~そして声がいい~

スミー役の駒井健介さんがだんだん宮藤官九郎さんに見えてきたのはナイショですがw

乳母犬のナナは三浦莉奈さんという女優さんが演じてらっしゃいますが、これがめっちゃ可愛い(笑)

ナナが何かするたびに客席のちびっ子が喜んでてほっこりしたわ~

うちの息子もかなり気に入ってましたw

息子といえば、観劇後にぽつんと

「男は結局、どんな女の子も『おかあさん』にしちゃうんだなぁ」

と言ってて、我が息子ながらちょっと感心しました。おまえは本当に男偏差値が高いね?!(親バカ)

あのお芝居を観てそう感じるなら、きみはきっとパートナーとうまくやっていけると思うよ。

 

さてさて、そして私の愛する小西遼生さん演じるフック船長ですが・・・

何がいちばん衝撃って、お顔のまだらな白塗りやおマヌケぶりが一切「意外に感じない」のが衝撃でw

そうなのです・・・彼のファンはみんな「素のコニシはこっち寄り」なのを知っているのです!!(笑)

原音ライブに行ってたり、牙狼関連のイベント配信で肘井美佳ちゃんと悪ふざけしてるの見たりしてたらね~

デスヨネー(GOYAのくるみちゃん風に)

あ、でもあれですよ、もちろん「芝居してなくて素のままやってる」ってわけじゃない。

フック船長って、ピーターと程度が同じというか、結局のところガキなのですよ。

すごく強い大悪党と自分では思ってるけど、実際のところはビビりだし海賊さんたちにもぜんぜん尊敬されてない。

時々、簡単に見捨てられそうになるのがおっかしい(笑)

なんとか威厳を保ち名声を得ようと必死なのよね~。

出で立ちがすすけてるのも、子どもが風呂敷巻いてマントにしてるのと同じで、あり合わせのものでそれらしくしてるっぽくてイイ。

なにげに難しい曲をサラッと歌ってるのはさすがでございます。

お嬢さん好きそうなのも可愛いし、なにかっちゃースミーに頼るのも可愛い。自分ではカッコイイ、優雅にキマッてる~って陶酔してるのが見え見えなのも可愛い。

ああもう可愛い!!かわいいぞコニシ!!(そうじゃない

そして燕尾服を着たダーリング氏のスタイルの良さには・・・ホレボレ・・・

ダーリング氏もダーリング氏で、気取ってるけど中身はフック船長と大差ないコドモですけどもw

※スペシャルカーテンコールで撮影OKでした

そうそう、舞台版では誰も死なないのもいいですね。

悪ふざけでフック船長に撃たれてバタン!て倒れる海賊さんたちも死んでなくて、全てが「ごっこ遊び」。

捕らえられたウェンディと仲間たちを助けにきたピーターにやっつけられた海賊たちも、結局最後に皆でてきて

「無事じゃねーか!」

ってなるw

ピーターとフック船長の一騎打ちも、まるで芝居がかってて。

フック船長が朗々と芝居がかった台詞を言うと、ピーターも呼応して古風な台詞で返す。

おままごとでもヒーローごっこでも、みんなで台本のないごっこ遊びをしてる時、誰かがキッカケを作ると

「あ、ここからそういう設定ね」

ってピンときてすぐさま対応したり、しませんでした?

飲み込みの良さと切り返しの良さを備えてる子と遊ぶと楽しかったなぁ。

そんなことを思い出したシーンでした。

ピーターは幸福な子どもなのか

ラスト、ピーターが再びウェンディを迎えにくるけど、ウェンディはもう大人になっていてネバーランドには行けない。

大人になってしまって、自分と来れないとわかったピーターは大泣き。

でもウェンディの娘ジェーンが自分のことを知っていて(しかも待っててくれた)一緒に行くとわかるとサッサとウェンディに見切りをつける、ここはザックリくるところ。

しかし、私個人的には、ここはウェンディが「大人になった自分」を悲しんでるとは思えないのです。

もちろん、ネバーランドに行くには不思議を信じられることとか、冒険を楽しむ心とか、ある意味 資格のようなものがあって、それを成長と共に失った、という寂しさはあると思うんだけどね。

ウェンディが感じたのはその寂しさと、移り気で成長しない、子どものままのピーターの虚しさと孤独ではないのか、と思うのです。

ピーターは勉強したくないという。遊んでいたい、冒険に心を躍らせていたいと。それはとても素敵なことに思えるけど、「しあわせ」なことかというと疑問。

だってそこには安らぎも、成長もないから。

ずっとお山の大将でいたい、本当は寂しくても手下同然の仲間たちには弱みを見せたくない、そして新しい刺激があればそれまで夢中だったものも捨ててしまえる。

永遠にその状態にいるピーターを、人の親になったウェンディが単純に羨ましいと感じるとは思えない。

「わたしも一緒に行けたらいいのに」

というのは、ジェーンが心配だからだと思うんですよ。ネバーランドが素晴らしい場所だから行きたいわけじゃないと。

 

こんな風に思っちゃうのは、ずっと私の中に残っていた原作のラスト近く、ウェンディ・ジョン・マイケルが家に帰り、ダーリング夫妻とナナと抱き合った場面の一文があったからかもしれない。

これほど美しい光景はどこを探してもないでしょう。でも、窓からじっと中をのぞいている不思議な少年を除いて、これを見ている者はいませんでした。この少年は他の子どもたちが知らない無数の喜びを知っていましたが、一つだけ、この少年が永遠に味わえない喜びがありました。少年は今、それを窓から見ていたのです。

「ピーター・パンとウェンディ」ジェームス・マシュー・バリー著、大久保寛訳

結局あれこれ考えちゃったけど、観ている時はもうとにかく楽しくて楽しくて!!って演目でした。

これから週末のたびに、あちこちでネバーネバーランドが出現するのですよね~

ちびっ子たち、そしてかつてのちびっ子たちも、ピーターに会えてネバーランドへ飛び立てますように!

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