「オリエント急行殺人事件」を観てきました

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私の愛する小西遼生さんが主演される!!待ちに待っておりました・・・

舞台「オリエント急行殺人事件」が開幕いたしました。

アガサ・クリスティー原作のオリエント急行殺人事件、ケネス・ブラナーの映画が記憶に新しいですよね。

しかし私にとって印象深いのは1970年代の映画の方だったりします(゚∀゚)

もうかなり昔に観たので、あまり鮮明には覚えてないけど。

ローレン・バコールやらショーン・コネリーやら、ジャクリーン・ビセットやらアンソニー・パーキンスやらイングリッド・バーグマンやら、

もう大スター勢揃い!!で豪華絢爛な映画だったのは覚えてる~。

2017年のケネス・ブラナー版もかなり豪華でしたけどね。

なんせ登場後すぐ死んじゃうラチェット役がジョニー・デップ様ですよ・・・なんつう贅沢w

遼生さんは最初、そのラチェット役かと思ったそうですが、エルキュール・ポワロ役でございます

初日を迎えたのは大阪。森ノ宮ピロティホールでございました。

大阪で初日を迎えるのは「ガラスの仮面」以来かな?

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もはや懐かしい~。

予想外にスタイリッシュで軽妙

さて舞台版の「オリエント急行殺人事件」。

大元になっているのは昨年アメリカで上演されたケン・ルドウィック版だそうで。

あちらの劇評を読むと、

「華やかでユーモラス、活き活きとした対話が魅力。より哲学的で暗い方がよければケネス・ブラナーの映画版を観るといい」

とかなんとか書いてある。

そうなの?と思いつつ開幕した日本キャスト版を観たら、確かに!って感じたわ。

美術セットや衣装は、そこまで豪華じゃない。言っちゃえば工夫でそれらしく作ったな、という感じ。

でも視覚効果が素晴らしくて!

予想外にスタイリッシュでした。カッコいいよ~!

汽車が進んで行くのを外から見ている、と感じたり、衝撃で身体が揺れたと感じたりするの。

珍しい手法ではないんだけど、タイミングが絶妙。

不意を突かれたように感じるのよね。初見時は驚く方が多いんじゃないかしら。

そして台詞や、やり取りも軽妙です。

クスリと笑っちゃうやり取りも多く、これから殺人が起きる、なんてことを忘れてしまいそうになるw

笑っちゃうといえば、舞台ではなんの説明もないけど、原作を知っていると関連が分かってクスッとくる台詞もちょこちょこあります。

なぜ インドの話なのか? とかね(笑)

有名すぎるあらすじはこんな感じ

シリアで仕事を終えた名探偵ポアロは、英国で起きた事件の依頼を受けイスタンブール発の超豪華寝台列車「オリエント急行」で英国へ向かうこととなる。列車に乗り合わせたのは、どこか妙な雰囲気を漂わせる乗客たち。
列車は発車するが、不幸にも旅の途中で雪崩に巻き込まれ立ち往生してしまう。
そんな中、事件が起きた―
乗客の一人、アメリカ人の実業家・ラチェットが鍵のかかった寝室で殺されたのだ。
鉄道会社から捜査を頼まれたポアロは聞き込みを開始するが、
乗客全員からは完璧なアリバイが――。

ポアロはこの謎を解けるのか。
そこには、思いもしない結末が待っていた…

引用元:https://www.orientexpress-stage.jp/

元の小説や映画版は謎解きが主ですけど、舞台版はちょっと違います。

誰が犯人なのかより、「なぜ」の方が大きい。

それだけに結末を知らないで観てると、ちょっとズルい感じがするかも。

情報が後出しされたように感じるというかね。

台詞の応酬から浮き上がる それぞれの”思い”がポイント

物語は列車の中だけで進むので、セットの転換はほとんどない。

なのでストーリーは台詞によって説明される。だからどの役者さんもまぁ台詞量が多い。

ちょっとしたニュアンスに、その人の感覚や社会的地位などが表現されるから、台詞はすべて聞き取りたいところ。

それぞれが発する「言葉」の選び方というか、そこでその表現か・・・?と引っかかりを感じる箇所にこそ、すごく大事な意味が隠れてる。

それと、人が殺されているのに意外と平気そうですね?って人がいたり、え、気にするのはそこですか?ってことがあるのね。

これね~、原作とも映画とも違う(登場人数も設定も違う)、この舞台版だけのことなんだけど。

複数回観ると、納得できるところと、かえって納得いかなくなるところがあるのが面白い(笑)

最大の納得いかない点は、とある登場人物がなぜあそこまでおバカさんに描かれているのか、ってことなんですけど・・・

これはまぁ、観た人がそれぞれ判断すればいいですけどね。

私個人としては、演出意図を河原さんに聞きたい。なぜなんだ。

気になってるのはその点くらいかな。

東京公演はまだ続くので、観ていくうちに理解が深まるかもしれませんけどね~。

女子チームが特に素晴らしい

ご出演の皆様はフレッシュ勢・ベテラン勢ともになかなかの存在感。

このブログをお読みくださっている方は先刻ご承知でしょうが、わたくしは遼生狂いでございましてね。

何を観てもどうしても「小西くんサイコー(はあと)」ってなりがちなんですよ。

しかし、この「オリエント急行殺人事件」では女性陣がもう素晴らしくて、誰からも目が離せないのです!

マルシアさんの陽気でワガママなアメリカ女性もチャーミングだし、ロシア人亡命貴族の春風ひとみさんはさすがの風格だし。

宍戸美和公さんの宣教師は敬虔すぎてヘン(褒めてる)好き。

伊藤梨紗子ちゃんは賢く、隙がないので可愛げも足りない感じ(褒めてますよ)の家庭教師。

そりゃもうステキに演じてらっしゃいます!

そして乃木坂のメンバーだという伊藤純奈ちゃん・・・美しい・・・!

若く美しく、賢い伯爵夫人がサマになっております。マジきれい。好き。←美女に弱い

今年1月に観ていたグレート・コメットに出演の生田絵梨花ちゃんに続き、乃木坂落ちしそうになっておりますわw

男性陣ももちろん悪くありませんよ~。田口トモロヲさんが、出番の多い大佐役の時より殺されちゃうラチェット役の方が活き活きとして見えるのは気のせいでしょうか(笑)

車掌・ミッシェルの田鍋さんは動きが小気味いいし、ムッシュ・ブークの松村さんは声とトーンと間が最高。洋画の吹き替えを聴いてるみたい。

室龍太さんは「気遣いの足りない明るく軽い青年」がハマってて憎めない感じ。

遼生さんのポワロはスタイルが良すぎるのが玉に瑕かと ←

真ん中分けでヘンなヒゲでも美形なのは もはや欠点と言えるのではないでしょうか?!

原作の設定と違ってまだ若い、売り出し中の探偵で、ポワロ像としては珍しい「ゆらぎ」を表現しているのが新鮮です。

でもそれだけに、この舞台版ではポワロの気持ち悪いくらいの頭脳明晰さが、あまりフューチャーされていないのがちょっと残念かな。

終盤の種明かしでは、結局すべての真実を見極められたのはポワロだけ。

・・・なんだけど、一度観ただけだとそのことがわかりにくいかも。

なので複数回観ましょう(宣伝

東京公演は2019年8月9日から8月18日まで、池袋のサンシャイン劇場で上演されます。

東京初日を観た時点で、大阪で観たのと違ってきたな、と感じてます。

大千穐楽まで、どんなふうに変わるかな。楽しみです(^^)

***** 追記 *****

2019年8月18日、大千穐楽を迎えました。

納得いかない点がすべて払拭されたとは言えませんが、回数を重ねて観るごとに腑に落ちる点が増え、なかなか良い舞台だったなぁと思えています。

公演も終わったので、書き残しておきたいことを備忘録的につらつらと。

舞台を観た、もしくはお話を知っているのを前提に書きますんで、説明は省きますね!(不親切

まず初っぱな、客席通路に佇む年配ポワロ。

これから舞台上で起きる事件とその結末、決断がその後のポワロの精神性に影響を与えた・・・

と説明しながら杖をつき歩く、そのイケオジぶりにヤられるw

頭髪とお髭に白髪のエクステ着けてたかな。歩き方も声も年配者って感じですがめっちゃ男前で、ファンとしては嬉しいかぎり。

きっとこういうおじさまになるのね・・・(その頃こちらにはお迎えが近づいてるが

自己紹介して去る、その直前にウィンクするのもツボにハマってさぁ大変。

ステージから遠いお席だった時は、ここぞとばかり双眼鏡でガン見してましたわ(゚∀゚)ほほほ

登場人物が汽車に乗り込む前に、名簿とつき合わせて名前や出身、身分を観客に紹介していく手法もなかなか良いと思った。

分かりやすいし、それぞれの大まかな性格も分かる。原作や映画版とは違う設定であることも、この時点である程度、提示されます。

ドラゴミロフ公爵夫人のメイド(実はアームストロング家の料理長)であるはずのシュミットはおらず、グレタが公爵夫人と共に旅をする、とかそういうのね。

エキセントリックでか弱く病的、しかし絶世の美女であるアンドレニ伯爵夫人も、この作品では「おきゃんな若妻」って感じ。

休学中の医学生であり、検死の手伝いが出来るという設定になってました。

このことが後々、種明かしに活きてくるんだけど、既存の作品群を知ってる身としては、最初はちょっと違和感あったかな。

乗客全員の紹介が済み、乗り込んだところで汽車は出発。

このオープニングが!!

めっちゃ良かった!!

テーマ曲に乗って、背景に乗客ひとりひとりの名前が投影されるのね

立ち姿や歩き方でも「その人がどんな人なのか」が表現されてて楽しかった。ポワロの名前が出るときは、お髭のイラストも一緒に出てたw

ポワロ(を演じる遼生さん)のロングコート捌きも、脚を組んで座るキメもカッコ良かった・・・!

全員がビッとポーズをキメてる背景に、「オリエント急行殺人事件」とタイトルが出現しましてですね、も───これ本当にテンション上がりました↑↑

曲は他にもたくさん使われてて、どれもステキでしたね~。私には開演前の曲が印象に残りました。
これとか

これとか

これとかですね

こういう曲が使われてたのも、ツンとおすましでなくスタイリッシュな作品だったという印象につながったと思います。

さて、オープニングが終わると一晩走った翌朝。ここでも、それぞれのキャラクターを印象づける台詞のやりとりがありました。

車掌のミシェルがアンドレニ伯爵夫人とドア越しに朝の挨拶をして、返事してもらうたびにデレー(///)ってなるのが可愛かった(笑)

旅はおおむね順調に進みますが、ラチェットがポワロに護衛を依頼して断られたり、伯爵夫人に迫って平手打ちされたり。

そのやり取りの中でメアリーと伯爵夫人は知り合いらしい?というやり取りがあったり。

少しずつ不穏な空気が漂いはじめ、ついには事件が起こる───

んだけど、ここらへんの緊張と緩和のバランスね。これが絶妙(笑)

ギュッと集中させたかと思うと、スルッとかわして笑わせる。最初は集中に水を差されたように感じたけど、あれ、緊張がずっと続いたら疲れてしまったかもしれないわ。

後々、起きたことを時系列で整理する時にまた強調される時間が、マッピングで大きく背景に投影されるのも印象的。

公演回数が進むにつれ、ハバード夫人の行動がどんどんエスカレートしてて笑った笑ったw

動きもオペラの鼻歌もやたら大きいし、男性陣にしがみつく・・・というより固め技をキメる勢い

ミシェルとポワロを部屋に引き込む力強さがだんだん強くなって、大の男が引きずり込まれるのがおかしくてかなり笑いました(笑)

ラチェットが殺されたと判明してから、謎解きが始まるわけですが、なんせ既存の作品とは設定が違うので結末を知っていても「どうなるの?」って思いながら観てた。

アンドレニ伯爵夫人が皆の最後の希望で、この犯行には関わっていなかった。そしてポワロの捜査を手伝った、というのが一番大きな違いなのかな。

こうするために、ハバード夫人として汽車に乗り込んでいるリンダ・アーデンは、気が触れているフリをしていた、という設定にしたんでしょうね。

ところで夫人ではなく、もともとはアンドレニ伯爵が乗り込むはずだったのはなぜ?ラチェットを殺すことは出来ない、と言っていたというのに・・・

と思ったんですけど、満席にしておかないと知らない人が乗って来ちゃって、計画の邪魔になる可能性があるもんね。

ひょっとしたら、二等車に乗る予定だったお客さんも、ポワロの台詞通り実在しなかったのかもしれないわ。とか考えるの楽しい(笑)

すべての謎が解けた時、若いポワロは悩むし苦しむ。

これまでの熟年ポワロは自分の中に確固たる信念があり、自分の判断に自信もある。だから決断も早く迷わない。でもこのポワロは違うのね。

「正義」にこだわってきたポワロに、「きみは善良なひとだ」という言葉を提示して去るブーク。

ここね、昨今よく目にする「正論で人を執拗に叩く」ことの空しさを想起する部分でした。

善良さは強さと対局にあると感じる不思議。

正論と情状、善悪の判断と懲罰。

法律では答えが出せない問題に直面した時、人は何を拠り所にジャッジを下すのか。

そんな投げかけを残して、ポワロは客席通路から去って行きました。

毎回、ポワロが客席通路へ降りると拍手が起きたのが嬉しかったなぁ。

思い出はまだまだたくさんあるけど、このへんにしておこうかな。

長い記事になってしまったw

再演があっても嬉しいけど、小西ポワロで別のお話も観たいな~シリーズ化されたらいいな!

この夏も良い思い出ができました♪オリエント急行殺人事件、良かったです。

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