舞台「黒蜥蜴」を観てきました

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中谷美紀さんが絶世の美女盗賊を、そして井上芳雄さんが明智小五郎を演じると話題の、黒蜥蜴を観てきました。

いや~クラクラした~( ゚∀゚ )

美意識が舞台上から劇場の隅々まで触手を伸ばしてくるみたい。

自分のだらしない部分についてつい、思い返させられてしまうような。そんなお芝居でした。

舞台上で回る盆の速度も、キャストの皆さんの口からこぼれ落ちてくる言葉も、絞ったり開いたりするライティング、意識させない音量で流れる音楽ともう、本当にひとつひとつが!

美しい!!

黒蜥蜴のあらすじは有名すぎるので割愛しますw

原作は江戸川乱歩、戯曲は三島由紀夫で、もともと美輪明宏さんに演じてもらうために書かれたというのは有名な話ですよね。

 

美しいものに執着する女盗賊、黒蜥蜴(くろとかげ)を演じる中谷美紀さん。とにかく美しい。立ってても歩いてても座っても笑っても動揺しても と・に・か・く・美しいのです!!

顔やスタイルが美しいってだけじゃない、存在が美しい。

鼻先を向ける角度、話しながら肘から上をあげて肩を突き出すポーズ、歩き回る時に広がるドレスの裾をさばく動きまで、すみずみまで行き届いた美意識でむせかえりそう。

美しさにあてられて目眩がした、って久しぶりだったよ。1日2回公演とか観たら、のぼせて鼻血が出るんじゃないだろうか。

衣装替えが多くて華やかなのもステキでした~、白レース、黒ベロア、紳士のスーツ、シンプルなカクテルドレスにボンデージな黒革のドレス、プリズムを着けたのかと思うようなドレスと、お色直しだけでも観る価値あったわ。

今まで観た黒蜥蜴とは、全く違って生身感が強かったなぁ。

黒蜥蜴って、誰が演じてももちろん美しいけど、一方では化け物じみてる印象もあったの。絶世の美女すぎて、異形の者って感じが強かったように思う。

でも美紀さんの黒蜥蜴は普通に女性で、それだけに恋する艶めかしさも苦しさも鮮やかでした。

 

彼女を追い詰めつつ、恋に落ちちゃう名探偵・明智小五郎が井上芳雄さん。

歌ってなくても良い声(笑)美しいセリフを放つ芳雄さんステキでした~、実は

「芳雄さん明智か・・・ナルシストでキザ、変人でもある明智小五郎の、アウトサイダーな面が出せるのかしら・・・」

と思ってたんですよすみません。アウトサイダーぶりはあまり強くなかったけど、上品でクール、理知的な明智像になってました。

こちらも、今まで観たどんな明智とも違う明智小五郎だったなぁ。劇中、薄い半透明なシート越しの表現があるんだけど、これがあなた色っぽくてもう(鼻息

中谷美紀さんとの並びも絶妙に美しい。1幕のラスト、お互い惹かれ合っているのを独白し合うシーン、触れ合わないのになんという官能か。

ホテルの一室から始まって、東京タワー、豪華客船、無人島とどんどんスケールが大きくなっていくお話と裏腹に、黒蜥蜴と明智の内面をのぞき込んでいるような感覚になるのも、禁断の薫りがしてこれまた耽美。

もうね、正直言ってあらすじなんてどうでもいいんですよ(乱暴

死んで心が無いものこそ美しい、宝石のように。共感はしないけど、美しい舞台装置の中で、美しい美紀さんが言うと説得力あってヤバい。心酔しそう。

 

黒蜥蜴に恋い焦がれる青年部下・雨宮は成河(そんは)さん。今まで観たことがある雨宮くんは、お人形のような弱々しい、腺病質な印象の青年でしたが、成河くん全く違いました。

そして相変わらず、芝居がうまい!黒蜥蜴に冷たくされて、他の部下が労われてるのを見てる時の顔ったら・・・!

芝居がうまいといえば、同じく黒蜥蜴に心酔する忠実な部下の朝海ひかるさんも。家政婦としてターゲットの家に入り込み、説教くさいオバちゃんを演じてるときは体格まで変わって見えた。

意味の通らない暗号をつらつら言うシーンは悪夢を見てるみたいで、不気味さもありさすがって感じでした。オバちゃんの扮装を解いたあとは、スキッとカッコ良かったですねぇ。

 

ところで、黒蜥蜴ってところどころ「ここは笑っていいんだろうか?」って感じるところがあるんだけど、笑っていいんでしょうかね、あそこは(笑)

朝海ひかるさん演じる「碧の亀(コードネームなのよ)」が ご褒美に宝石をもらうんだけど、それを

「身内が煎餅屋をやりたがっているので、元手にしてもいいか」

とか聞くシーンは、声は出さなかったけどかなり笑ってしまったわ~。

雨宮と誘拐された令嬢・早苗(相楽樹さん)のオチにも。雨宮!いいのかそれで!(笑)

 

ちょっと残念に感じたのは、劇場が広すぎたかなーってこと。もっと小さい、できればコクーンくらいの劇場で観たかったなぁ。そしたら、覗き見してる背徳感も感じられて、より耽美で官能的だっただろうに、って思った。

まぁ、そしたらチケット取れなかったかもしれないけど(笑)

非日常を楽しみに劇場に行くなら、こういう演目をぜひ観たい!と思える作品でした。東京は日生劇場で2018年1月28日まで。2月1日から2月5日までは、大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演です。

もう一回観たいなー

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