ミュージカル「DEVIL」JAPANプレビューコンサートを観てきました

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9月半ば開催なのに8月の頭に突然発表されたこの演目。

シアターウエストってなによキャパ300弱じゃね?!チケットどうすんの!?

と大わらわでしたが、希望した日程通り行けました。感謝感謝。

レトルトと作り置きご飯に耐えてくれた家族よ ありがとう(笑)

韓国発、ゲーテの「ファウスト」を下敷きにしたロックオペラ調の作品とのことで、音楽はもう絶対にイイ!という評判。

韓国では熱狂的な人気で~っていうのはどの作品にもついてる枕詞なので、ちょっと話半分に聞いとかないとwって思ったんですけどね。

本当に曲がメッチャ良く、のみならずお話も興味深かったんですよ~これ大好きなヤツだわ~!

あらすじ

誠実なトレーダー、ジョン・ファウストはブラックマンデー(1987年10月に起きた史上最大規模の株式大暴落)に見舞われる。

絶望し焦燥するファウストの元に、Xと名乗る人物からある契約の提示がある。パートナーのグレッチェンは反対するが、リスクを覚悟で受け入れる。

やがてファウストは、当初の目的よりもずっと大きな欲望の奴隷となり、人が変わったようになってしまい───

本上演ではないのであらすじは推して知るべしって感じなのよね。なんせ75分しかありませんでしたし。

私が受け取ったあらすじはこんな感じでした。

いやほんと消化不良になるし、本公演を早くやって欲しい!

 

何ってこの演目、本当に開幕前のプロモーションがほぼ無くてさ。

出演者のファンと、演劇・ミュージカル界隈のメディアを自発的にチェックしてる人しか、上演を知らなかったのではあるまいか。

演出をされた広崎うらんさんも、プロセスが特殊だった的なことをおっしゃってましたし。

 

公演中の劇場前の掲示がこれよ

このコピー用紙が貼られた劇場内で、あんな熱く深いミュージカルが上演されてるなんて思わないよね~w

名称は「プレビューコンサート」だけど、歌ってるだけじゃなくお芝居になってて、全然コンサートじゃなかったし。

 

シアターウエストでミュージカルって初めてかも?あ、スリル・ミーがあるか。でもあれ、ピアノだけだしなぁ

音響どうなのかしらと思ってた。で、初日は2列目の中央寄り、上手サイド席だったのね。

そしたら、歌声はほぼ生声で聞こえてくるけど、伴奏はスピーカーから聞こえてきて馴染まず。

それで序盤は没入できずだったんですがね。

ものの10分くらいでそんな印象もふっとんだw

まぁとにかく、筋を読もうと必死になるし曲がキャッチーで頭に残るしで、劇場を出る頃には興奮してましたわよ

あとね、プロモーションがあまりにもあっさりしてたのと、ビジュアルが一切出なかったし、「コンサート」だしということで、

「ステージに私服のキャストさんが並んでたらどうしよう」

と思ったんですけどね。そんなこたぁなくて良かったです(安堵((なぜ

遼生さん演じるBlack氏のコートが長い!!

そして蛇の鱗みたいな影が落ちる生地、めっちゃカッコ良かった!

肩のシャーリングがちょっと謎でしたが、後ろ姿が邪悪でした ←

あっきー(中川晃教さん)演じるWhite氏のお衣装はマジ天使、というかあれなんていうの?

スモックみたいな・・・神父の身の回りのお世話をする少年が着てるようなヤツ(わからん

可愛かった。意味深だけど。

 

さてそれで感想なんですけど、お話が粗削りにしか提示されてないので、ところどころ自分で補完(妄想ともいう)するしかなく。

でもほんのちょっとの台詞や表情で、ジョンとグレッチェンの人物像がわかるようになってました。

X-Black・X-White両氏は「ヒト」ではない印象なんで、人物像もなにもないんですけどね・・・

まぁイメージとしてはBlack氏は誘惑・堕落を誘う悪魔っぽい何か、White氏は清廉さと誘惑に打ち勝つ強さを支える何か、って感じです。

しかしBlack氏が悪者で、White氏がその企み(?)を阻止すべく戦う、なんてことはなく、ハッキリと分離してはいない。

この「敵対してない、戦ってない」っていうのがこの作品の特異性かなって思いました。

見続けてるとだんだん、X両氏とジョン・グレッチェンの4人で、ひとつの人格や心の変化を表してるのかもしれない・・・と思うようにも。

なにか事が起きた時、どうやってその「コト」に対峙するかは、すべて自分の選択によって決断しなきゃならない。

手近に寄りかかれそうなものがあれば縋ってしまうのは人情だけど、本当にそれは誰にも恥じることなき思考・行動なのか?

この作品中では特に宗教的背景が見え隠れするから(題名DEVILだしね)、信仰心や神に対して、って問われてるように感じる。

でも「自分自身に恥じないか」ってところだと思うのよ。根幹は。

 

とてもとても単純に考えれば、

  • ピンチに陥ったのをきっかけに、ジョンが悪魔の誘惑に負けて権力と快楽を欲するようになった。
  • 彼の変貌に心を痛めたグレッチェンは壊れてしまい、彼女までも悪魔の手に落ちそうになった。
  • しかしグレッチェンを救うためにジョンは自らを差し出した。

って見える。

でもたぶんそう単純じゃ無いよね?って思わせるものが、そちらこちらに散らばってたと感じられたの。

 

たとえば冒頭、ブラックマンデーで打ちひしがれたジョンに、グレッチェンが

「神のなさることには意味がある、この試練にもきっと」

って歌う。その時ね、セット上段にいるBlack氏はジョンじゃなくグレッチェンを見てるのよ。

あのお顔見てると、最初からグレッチェンがターゲットなんじゃないかと思っちゃう。

真摯な信仰心が揺らがないか・・・いや違うのかな。

神に対する信仰心というより、人が人を信じる、信じ切る難しさを試すというか。

で、こう思ったり

他のシーンも話し出すとキリがないくらい、思うところが色々ありました。

ぜひぜひ本公演でじっくりとまた楽しみたいところです。

 

宗教的色合いの強さを感じたのは、歌詞にところどころ「祈りの言葉」が出てきたことからも。

結局、Black氏もWhite氏も、神の使いでも敵でもなくて、ヒトの心中にある「なにかに頼りたい心」を象徴してるのかなって思った。

そもそも宗教ってそういうものだしね。

絶対的な神の存在は信じてないけど、誰かが畏れをもって大事にしているものをあえて叩き落とすことはしたくない。

というのが日本人の宗教観の質だと個人的に思ってるんですが、このへん「韓国のキリスト教文化」的にはどうなんでしょうね。

詳しい人に聞いてみたい。

 

そうそう、劇中ダンサーさんのパフォーマンスもありまして、3人のダンスを観ることが出来たんですが、それも全然アプローチが違っててビックリ。

もうおひと方、宮河愛一郎さんはとても実存感のあるダンスで優しく、悲しい気持ちになりました。

ひとことでいえば平山さんからは「静寂」、佐藤さんからは「意志」、宮河さんからは「煩悶」を感じたの。

それぞれのダンサーからインスパイアされたものが、劇中人物の心情を色づけしてくれたように感じたのが、とても刺激的でした。

キャストはたった8人(ダンサーさん入れて9人)という本当に少数精鋭。

バンドもなんと 2人!!

ピアノ(江草啓太さん)とドラム(臼井かつみさん)だけで、あんな多彩な楽曲たちを演奏してるなんて本当にスゴイ。

と同時に、これをフルオケで聴いたらどうなっちゃうのかしらと思ったわよ。

 

アンサンブルさんたちもね、早替えこそ無かったけど、場がころっころ変わるんで表情や歌声の変化がめまぐるしい。

でもそんなの劇中は全然感じさせないのがスゴイよね~。

山野靖博さんは低音パートがおなじみだけど、初っぱなソロで歌うところが違った感じで新鮮だった。

馬場亮成さんは私は「戯伝写楽」以来かな。コミカルなお芝居が印象的だったんで、今回は表情が多彩でこれまた新鮮でした。

木村つかささんは澄んだ歌声がステキだったし、りょーたとの絡み(言い方)がセクシーでした♡

町屋美咲さんのパンチの効いた歌声もステキだったなぁ~小柄な方なのにすっごい迫力ありましたよ!

 

あっきーこと中川晃教さんの歌声は本当に神聖で美しかったし、私の愛する小西遼生さんは妖しくエネルギッシュな歌声で、それぞれ客席を魅了してくれました(ウットリ

今回初めましてだった雅原慶さん、本当にステキだった!

最初の最初に聴いた時は「あれっ濱めぐさん?」って思ったの。

歌唱法なのか発声法なのかわからないけど似てると思って。

そしたら劇団四季出身の方なんですね。ほー、と思いつつ観てるうちに大好きになっちゃいましたよ・・・お歌も芝居もいい~他の演目もぜひ観たいです。

そして大活躍だった村井良大さん、ミュージカル界にあんなにもビジネススーツが似合う俳優ってほかにいる?(笑)

過剰さがないって、武器なんだなぁと今回しみじみ思っちゃった。ヘンな表現だけど、誠実さとゲスさの振り幅が均等で感心。他の俳優さんだとどっちかに比重が傾きそう。

ファウストが良大さんだったから、駆け足ダイジェストな公演でもお話がスムーズだったと思う。

何度も言っちゃうけど本当に本公演が観たいよね!!

 

そんなこんなで上演が重なるにつれ考察も深まり、理解が深まったのか 分かったふりして観てたからかはわかりませんが、実際どんどん良くなってたと思う。DEVIL。

個人的には前楽、9月25日が昼夜公演ともサイコーでした!

 

ライブ配信も何度かありましたね。私は23日の配信を観られました!

音もクリアで嬉しかった~

配信では彩度の関係かはたまた権利の関係か、マッピング映像が見えなくなってました。

映像から感じる意味合いもあったと思うので、もし本公演があればぜひまた劇場で観たい。

 

ときに完全に余談ですけど、毎度その色気で客席を悶絶の炎で焼き尽くす小西遼生氏ですが、今回手つきが本当にヤバくてですね。

よせばいいのに双眼鏡で眺めて、何度 呼吸困難になったかわかりません(ゼイハァ

75分のプレビューコンサートで9800円のチケット代も全く高くなかったです(真顔

ワルプルギスでのお歌の途中で、町屋美咲さんとちょっと密着するんですけどね。

お友だちと

「あれ羨ましいよね~」

「いや待て、ダメでしょだって腹まさぐられてるよ!腹だよ?!」

腹はダメだ!ぶよぶよだ!!」

などというバカ話をしたのも楽しかったです ←

 

アホな話で終わってしまうw

出演されてた山野靖博さんのnoteがとても興味深かったのでぜひ。

DEVIL本公演の上演を心から、本当にもう心から!!お待ちしています!

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