舞台「メアリ・スチュアート」を観てきました

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世田谷パブリックシアターで上演中の舞台「メアリ・スチュアート」を観てきました。

大好きなシルビア・グラブさんと森新太郎さん演出に惹かれて観に行きましたが、

いや───よかった。

めっちゃ重厚、3時間超えでもあっという間。たいへん見応えありましたわ!

ふたりの女王と、彼女たちをとりまく男たちの物語

前に観たことがある、中谷美紀さんと神野三鈴さんの2人芝居「メアリー・スチュアート」とは全然違ってた。

あちらも女優ふたりの息詰まる攻防が素晴らしかったですけど、こちらのシルビアさんが!!

もう本当に凄い!!

タイトル・ロールのメアリ役は長谷川京子さんなんですが、わたくし的には題名を「エリザベス女王」にしたいくらいです。はい。

と、いっても長谷川さんがダメダメだったわけじゃないですけども。

舞台経験はあまりないとのことですが、大変な長台詞をしっかりものにしてらしたし、何より説得力ある美しさ。

欲をいえばもうちょっと、声にハリが欲しかったかな~という感じです。

メアリ・スチュアートのあらすじ

16世紀末、政変により国を追われ、遠縁(父の従妹)にあたるイングランド女王エリザベスのもとに身を寄せたスコットランド女王メアリ。
しかしエリザベスはイングランドの正当な 王位継承権を持つ メアリの存在を恐れ、彼女を 19 年の長きにわたり幽閉し続けていた。
その間、二人の女王は決して顔を合わせることはなかった。

そして時は今、エリザベスの暗殺計画にかかわったのではないかという嫌疑がメアリにかけられ、裁判の結果、彼女には死刑判決が下されたのである。

スコットランド女王メアリと、イングランド女王エリザベス一世の対立を主軸に、宮廷内での駆け引きが描かれる。
二人の間を奔走する、 メアリに恋心を抱く青年モーティマー、二人の女王から寵愛を受け策略家のレスター。
裁判を不当なものとして己の正当性を訴えるメアリと、 その処刑を決行するか否かを決定しかねるエリザベスの苦悩が描かれていく。

その姿を一目見、その声を一度聴けば、誰もが心を許したくなるといわれる美貌の女王メアリ。
メアリを救いたいと願う男たちは、メアリをエリザベスに一目逢わせれば、エリザベスの頑なな思いも氷解するのではないかとその機会をさぐる。

果たして二人の女王は初めての対面を果たすことができるのだろうか。そして、メアリの運命は・・・

引用元・https://setagaya-pt.jp/performances/marystuart20200102.html

史実を元に作られているので、メアリがどうなったのかはちょっと調べればわかりますが、エリザベスの葛藤やふたりの女王の確執については、実際どうだったのかは分かりようもないことです。

でもね、お芝居観てると「ああ本当にこうだったのだろうな」って思っちゃう。

そういうお芝居でした。

印象的な「何もない舞台」で繰り広げられる台詞劇

劇場に入ってまず「あれっ」と思ったのが舞台セット。

な に も な い。

いや本当に、何にもないんです!!

真っ黒な床、壁。舞台から客席中央に突き出した舞台も真っ黒で、その先には手すりと降りていく階段が。

私は2階席中央から観てたんですが、黒い舞台に穴が3箇所開いてるだけで

これほど何もない舞台は観たことがない!!

これ、どうなの・・・役者さんたち、泣きたいほどキツくないのかしら。

と思っていたら、終演後のポストトークで山崎一さんが「ストレスすごい」って嘆いてらっしゃいました(笑)

森新太郎さんの演出は、静寂とライティングがいつも印象的で効果的だなと思ってるんですが、メアリ・スチュアートもそうでした。

とにかく暗い場面が多い。ほぼ暗転といえるような暗さ。

そこで謀が行われ、登場人物の暗い悦びや望みが見え隠れする。

シェイクスピアを思わせる、詩的で比喩の多い長台詞が暗い中で続くので、ヒアリングが苦手な人にはちょっと厳しいかも。

そしてね、SS(サイドスポットかな?)というそうなんですが、上からでなく、袖からの照明も多く使われていました。


舞台上にいる2人が、お互い背面から照らされているため、できる陰影がなんともいえず不穏。

この照明も役者さん泣かせみたいで、逆光になるから相対している役者さんの姿が見えないんですって。

暗いから足下に開いてる穴も見えないし・・・って本当に辛そうw

でもね、お芝居を観ているこっちは、ポストトークでそんな話を聞かなければ、その苦労が全くわからない。

つくづく、役者さんってすごいなと思いましたよ・・・そして森さんキビシイ(笑)

そしてところどころでまた、効果的に使われる「静寂」。ラスト、エリザベスがたったひとり舞台の端に立ち、なんの言葉も発さず効果音もない静寂が、とても印象的!

くるくると入れ替わるパワーゲーム。勝者はだれ?

エリザベス女王とメアリ・スチュアートの出生と、その関係についてはこちらのサイトさんが詳しいです

エリザベス1世とメアリー・スチュアート

波乱の生涯の果てに世界に冠たる大英帝国を築いたエリザベスと、自身の恋に生きたメアリは対照的。

どちらも劇的な人生で、そのふたりを軸にした作品がたくさん作られるのも納得できるというもの。

作品のテーマは、支配するものと支配されるもの、立場が入れ替わるたびに「力」の向きが変わる、でも結局どちらにも「力」は定着しないというか。

権力争いの空しさ、支配するものの狡さと弱さ、みたいなものがテーマかなと感じました。

権力という意味での「力」は、すでに女王の座についているエリザベスが優勢に違いないんだけどね。

やり取りの中で、相手に打ち勝とうとすればするほど、自分の側の汚点というか弱りどころを突かれて、その瞬間優位性が入れ替わる。

周囲の男たちにしても、ふたりの女王にしても、結局だれも幸せになっていないし。

いったい、この関係に勝者っているのかしら、と考えてしまう結末に、現在の日本の状況もまた、重ねて見える作品でした。

見応えありました~はぁ~ビアさんステキ。

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