舞台「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」を観てきました

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2016年10月、全労済ホールスペース・ゼロで上演された舞台「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」を観てきました。

30代の頃かな?週刊SPA!という雑誌を定期的に読んでたのね。そこに、原作者の北尾トロさんが、他の方の漫画のキャラクターで出てらしたんです。

それでなんとなく名前を覚えてまして、この「裁判長!」が話題になった時に、読んでみようと思ったのでした。

とはいえ、私が読んだことがあるのは1作目のみ。面白いけど、続けて読みたいと思うことはなかった。

それがなんでだったのかは、今回お芝居を観てみて、ハッキリしたというね。

こういうことがあるから、面白いよね~人生って(笑)

 

さてお芝居。2016年版は再演だと聞いていたんですが、前作も観た方のお話によると、まったく違うオリジナルストーリーだったとのこと。

私は原作をちょっと読んだことがあったのと、中村優一くんと藤田玲くんが出てるんでちょっと観てみよっかなーくらいの興味で観に行きました。

が。

見ごたえあったのよ~とても良かったわ!

あらすじはこんな感じ。

 

ライター志望の北尾(中村優一さん)は、裁判傍聴へ通う青年。

初めはネタ探しに通っていたのだが、実際に裁判を見るうちに、被告の苦し紛れの言い訳や弁護人と検察の巧妙な駆け引き、意外に優しく人間くさい裁判長など、先入観とは全く違う世界に夢中になっていた。

傍聴マニアの知人(宮原将護さん・宮下雄也さん)も出来、毎日を楽しんで過ごしていたが、傍聴席でいつも見かける女子大生の日向(石田晴香さん)には「覗き趣味で裁判を傍聴するな」と言われてしまう。

覗き趣味とはなんだ、それのどこが悪いんだ、と思っていた北尾だが、日向の過去を知り、興味本位の自分のあり方に疑問をもつ。

そんなとき、幼馴染の橘秋介(藤田玲さん)が、被告として裁判に現れる。驚いた北尾をもっと混乱させたのは、秋介は多重人格だという弁護側の主張だった。

 

 

こう読むと少人数の演劇みたいだけど、実際には20人以上の役者さんが出てらして、まぁ大がかり。

セットもね、おなじみの裁判所の舞台セットなんだけど、大きく回転してさまざまな表情を見せてくれる。回転させるのも役者さんで、テンポよく進んでいくので全く飽きませんでした。

 

観ている側が誰に感情移入するか、ってなかなか難しい演劇だけど、主人公の北尾に対する気持ちがだんだん変わっていくのが面白かった。

最初はね、本当に他人の人生に起きたあれこれを楽しんでるように思えて、なんかあまり品がないなーと感じるの。子どもっていうか、浅はかというか。

そうなの、それがね。原作1作目を読んで受けた印象でもあったのでした。だから続編は読みたいと思わなかったんだなぁ。

それがだんだん、他人事でなく自分がこの立場だったら?と考えるようになっていく。劇中でもそうで、優一くん演じる北尾の声の調子、表情もどんどん変わっていくの。

パンフレットで脚本・演出の塩田泰造さんがおっしゃっている通り、北尾の成長物語にもなってた。

原作のエッセイも、きっと続けて読んでたら、そのへんの変化にも気づいたのかもしれないわね。

 

玲くん演じる秋介と、妹の春子(佐藤すみれさん・仁藤萌乃さん)のやりとりは、最初は茶番っぽいと感じたんだけどね。裁判が進むにつれてだんだん鬼気迫ってきて、「まさかね」と思いながら手に汗にぎってしまったわ~。

ネタバレすると、兄の多重人格がフェイクでなく、本当だと証明するために、妹である自分を犯して見せろと言う。

これ、下手すると笑いが起こりそうでしょ。でもそうならず、ものすごいヒリヒリした。

兄妹がずっと虐待を受けて育ったこと、兄が取引先の男を撲殺してしまったのは、そのことが関連していたこと、などが語られ、結局判決はどうなるのかはハッキリしないまま終わる。

だけど、実際に裁く側に立ったら、そしてもし、自分が被告の立場だったら?

劇中の登場人物と自分の立場が重なっていくように感じて、遠い世界の話じゃないんだなぁ、ってしみじみ思った。

なかなか、他では見ないお話で楽しみました!

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