舞台「十二夜」を観てきました

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日生劇場で上演中の舞台「十二夜」を観てきました。

シェイクスピア作品は格調高く小難しいもの、という印象をお持ちの方が多いと思う。

しかし稽古場見学会の記事でも書いた通り、小難しさより楽しさを強く感じる仕上がりでしたよん。

ただのドタバタ喜劇ではなく、アイロニー漂う作品であることは間違いない。

それでも観終わった後は暗い気持ちにならない、ステキな舞台でした。

もともと、ジョン・ケアード氏が演出、橋本さとしさん音月桂さん出演ということで行くことは決めてた舞台でしたが、後から小西遼生さんの出演が発表になって狂喜したわたくし。そりゃもう楽しみにしてました。

まずは初日と2日目に行ってきたので、その感想をつづりたいと思います。

ビジュアルは森の中のイメージ

森って自然、さわやか、生きる力ってイメージもあるけど、個人的には「死」や「輪廻」も連想しちゃうものでもある。十二夜の中で語られる、愛と喪失にも直結して、すごくステキだなぁと思ったわ。

舞台セットは生垣に囲まれた貴族の宮殿の中、って感じで、お庭だったり室内だったり。ステージの天井部分はお天気や時刻によって刻々と変わっていく。満月が出たり嵐になったりと、本当に美術がステキでした。

2階から俯瞰して観たら、さぞかしステキだろうなと思った。後日、中2階のグランドサークル席での観劇予定があるから楽しみ!

さて、ここからはネタバレします。と、言っても有名な話だからあらすじは知ってる人が多いと思う。でもラストの演出部分までバレて書きますから、これから舞台を観るよという方はご注意くださいね~。

 

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ステージには幕が下りていませんで、劇場に入ると舞台セットが見える。かなり傾斜のきつい、奥行きの長い円形の舞台に、客席に飛び出すように正方形のステージが足されてます。

開演5分前のブザーがなると、楽士たちが登場して音楽を奏ではじめます。まだ客席の照明が完全には落ちていない状態で演奏が始まるので、その時点ではあちこちでさわさわと話し声がする。

なんだかとってもリラックスできた(笑)

どんなタイミングで始まるのかな~と思っていると、暗い舞台の奥から、なっっがいガウンを羽織ったオーシーノ公爵(小西遼生さん)が登場。椅子に座りじっと音楽に耳を傾けます。

曲が終わるころになると客席の照明が落ち、お芝居が始まります。

 

ところはイリリア。領主のオーシーノ公爵は、伯爵家の令嬢オリヴィア(中嶋朋子さん)に熱烈に求愛しているが、オリヴィアは父に続いて兄を亡くし、喪に服する毎日。オーシーノの求愛を受けず、今後ずっと喪に服して修道女のように暮らすつもりだという。

求愛が受け入れられず憂鬱な日々を送っているオーシーノ。

同じころ、ヴァイオラ(音月桂さん)は乗っていた船が難破。見知らぬ国であるイリリアに流れ着く。

うりふたつの双子の兄・セバスチャンは海で溺死したに違いない、と絶望するヴァイオラは、他国の女であることを隠し、男装してシザーリオと名乗り、領主のオーシーノに仕えることにする。

オーシーノは美しく利発なシザーリオを寵愛するようになり、求愛を拒み続けるオリヴィアのところへ遣いにやるようになる。

なんとしてもオリヴィアに、オーシーノの愛を伝え応じさせよというのだ。しかしシザーリオに扮しているヴァイオラは、オーシーノに恋をしていた。

男装し身分を隠しているため、オーシーノへの愛を打ち明けられず、切ない気持ちを抱えたままオリヴィアの元へ通うシザーリオ。しかしその美しさと利発さで、オリヴィアの心を虜にしてしまう。

 

一方、オリヴィアの伯父であるサー・トビー(壌晴彦さん)は、姪に求婚にきたサー・アンドルー(石川禅さん)を遊び仲間にし、酒浸りの毎日を送っていた。

あまりのだらしない生活ぶりを、オリヴィアの嫌味な執事マルヴォーリオ(橋本さとしさん)にきつく咎められたことに腹を立てるサー・トビー。

同じようにマルヴォーリオを嫌う侍女のマライア(西牟田恵さん)、庭師のフェイビアン(青山達三さん)と共に、マルヴォーリオを笑いものにする罠をしかける。

マルヴォーリオが主人であるオリヴィアに恋をしているのを利用して、偽の手紙を用意した。あたかもオリヴィアがマルヴォーリオを愛しているように思わせ、その挙動を盗み見て大笑いする。

見事に罠にはまったマルヴォーリオは、狂人として監禁されてしまう。

伯爵家の道化・フェステ(成河さん)も仲間に引き入れ、いたずらが度を越したものになった頃、生きていたヴァイオラの双子の兄・セバスチャン(音月桂さん・2役)は、彼を慕うアントーニオ(山口馬木也さん)と共に、イリリアに来ていた。

あまりにもソックリなため、男装したヴァイオラと見分けがつかず、オリヴィアはセバスチャンをシザーリオと思いこむ。美しいオリヴィアにひとめ惚れしたセバスチャンは彼女の求愛を即座に受け入れる。

そんな事とは知らないオーシーノ公爵とシザーリオが、オリヴィアの元を訪ねてくる。オリヴィアはシザーリオと婚約したというし、サー・トビーはシザーリオに怪我をさせられたという。訳がわからず混乱するシザーリオと皆の前に、セバスチャンが現れる。

海で遭難して以来、お互いを死んだと思い込んでいた兄妹の再会に、周囲の人々は感激する。オリヴィアはセバスチャンと、オーシーノはヴァイオラと結ばれ、幸福な幕引きと思われたが、幸せの輪から外れてしまう人々もいた。

マルヴォーリオは狂人ではないことが証明されたが、屈辱的な扱いを恨み伯爵家を去る。サー・アンドルーは大金を使ったのにオリヴィアと結婚できなかった。

悲喜こもごもの人々は去り、道化のフェステが歌う、ちょっと寂しい「人生は風雨の繰り返し」という歌で幕は下りる。

 

シザーリオとセバスチャンは全く同じ格好をしてるんだけど、サッシュベルトと帽子のリボンの色だけが違うの。シザーリオは黒、セバスチャンは赤。でもそんな目印はなくても、今どっちを演じてるのかすぐ分かります!桂ちゃんすごいわ~。

この芝居でヴァイオラとセバスチャンが2役で演じられる場合、一番気になるのは「ふたりが出会う場面をどうするのか?!」という事だと思います。少なくとも私はそれが気になってました。しかし初日、舞台を観てビックリ。

桂ちゃんがふたりになった!?と思ったんですよ本当に!舞台の下手に後ろ向きの桂ちゃんがいるのに、奥から赤いサッシュベルトと剣を持った桂ちゃんが出てくるんだもん!!

しかし、舞台下手に後ろ向きに立っていたのは桂ちゃんではなく、フェイビアンのお小姓の男の子を演じていた、真瀬はるかさんだったのでした!若くキレイな女優さんを、セリフのない男の子役で使っている疑問が氷解した瞬間だったわ(笑)

おぬし、影武者だったのか~!

しかし、その場面からはずっと真瀬さんがヴァイオラ役を演じる、という訳ではないのです。真瀬さんも多少は台詞を言うけど、あくまでも桂ちゃんが2役を切り替える。これがあまりにもキッパリ変わるんで、つい笑ってしまう!!

桂ちゃんの切り替えは本当に見事のひとことです。シザーリオの扮装でも、ヴァイオラとして独白してる時は女の子らしくて可愛いし、シザーリオの時は性別が定まらない中性的な少年そのもの。そしてセバスチャンの時は文句なしに男前です!

剣を持っての殺陣シーンも、ヴァイオラの時のオタオタと、セバスチャンの時のキレッキレ具合が違いすぎてステキ(笑)

 

個人的には遼生さん演じるオーシーノ公爵の表情もツボでした。従者のキューリオがシザーリオとくっついて座った時のムッとした顔とか(笑)

オリヴィアが目の前に現れて「姫のお出ましだ・・・地上に降り立った女神」と うわずった声を出したあと、シザーリオの顔を見てバツ悪そうな顔するとこも!大好き!!(笑)

シザーリオは男(のはず)で従者なんだし、オリヴィアにお熱なのは先刻承知なんだから別にいいのに、まるでグラビア見てニヤついてるところを嫁に見つかったような顔する(笑)可愛くて笑っちゃう!!

オリヴィアがシザーリオに「私の夫!」と呼びかけるのを聞いて

「おっと!?」

と素っ頓狂な声出すところも だ い す き です!!(叫)

 

シザーリオを憎からず思ってる・・・って言葉じゃ間に合わないか。

ほぼシザーリオを愛してるだろオマエ、という状態の公爵様は、オリヴィアとシザーリオが婚約したと聞いて二重に失恋した気分になるわけだよね。誤解と分かっているのは観客ばかりなり。なので、観ていてかなりムズムズする(笑)

禅さん演じるおバカなサー・アンドルーはアホすぎてムカついてくるし(演じてる禅さんは可愛いんですけどね)、壌さん演じるサー・トビーも酔いどれ具合がいい感じに下品だし、ひとりひとりについて延々語りたくなる!

皆に嫌われてひどい目に合わされるマルヴォーリオは、さとしさんの人柄を感じちゃうせいか、あまり嫌いになれない(笑)それだけに最後は可哀想になっちゃう。しかし騙されている時の振る舞いはホント笑えます(笑)

↑↑↑↑↑ ここまで ↑↑↑↑↑

 

なんせ皆さん!!声がいい!!

出演されている方々が、一人の例外もなく声がいいのです!美しい舞台美術、美しい衣装、そして文句なく美しい声と音楽。たまらなく心地よい時間を過ごせました。

野卑で下品なサー・トビーを演じる壌さんの響く声もステキだし、中嶋朋子さんの気高く知的なオリヴィアもやっぱり声がいい。そして成河さん!ソンハさん存在感ありすぎです!

言葉で煙に巻きながら、すべての人々の心の中を見通しているフェステがピッタリ。オーシーノ公爵に「玉虫色のタフタでガウンを」と言うところ、公爵自身も気づいていないシザーリオへの愛も見透かしてるみたいでキュッとくる。

言葉遊びのようで核心をついてくるフェステの台詞は、劇中の人々というより、劇を観ている私たちに向けて放たれてるのかな、って感じますね~。

フェステといえば、他の人たちがうるさいくらい細かい柄とか装飾を施した衣装を着ているのに対して、シザーリオとセバスチャン、フェステだけが地紋も柄もない生地の服を着ているのが印象的だったな。あれは何か含みがあるのかしらね。

パンフレットも美しく、内容も充実してましたよん

個人的にすごく謎だった、「マライアはなぜサー・トビーが好きなの?」という点も、パンフの記事でケアード氏が話してる。すみずみまで読むことをお勧めします!

2日目の3月9日は、演出のケアード氏のトークショーがありまして、それもこの記事で書こうと思ったんですが、あまりにも長くなったので分けることにします。

書きたいこと半分も書いてない気がする(笑)

台詞の洪水って印象があるシェイクスピア劇の中でも、十二夜は分かりやすく、意味もつかみやすい部類。流れてくる言葉の音に身を任せて、この後の観劇も楽しみたいと思いまーす。

コメント

  1. みっぽこ より:

    わー!待っていました\(^o^)/
    やっぱり見たい!でも実は妊婦でして…( ̄ー ̄)
    無理じゃないだろうな…と諦めもつかないのですが未定なので、まみろうさんのレポ本当に嬉しいです!
    ネタバレ部分を読んでも、ラストはかえって面白そう!
    次の記事も楽しみにしていますね!

  2. ヨッコ より:

    まみろうさん こんにちは
    私も初日と昨日行って来ました。
    シェイクスピア作品の中ではとても見やすい作品ですね。
    冒頭の美しい音楽に聞き入り、それを聞いて座っているオーシーノ公爵の姿は
    このまま舞台が動かなくてもずーと観ていられるなんて思ってしまいました。
    一緒に行った友達が、シェイクスピア作品で退屈するかと思ったら
    とても面白かったと感想を漏らしていました。
    観劇後には作品とコラボしているケーキセットをいただきながら
    友達との会話を楽しんで来ました。
    まだ始まったばかり、これからどう変化していくか楽しみです。

  3. まみろう より:

    >みっぽこさん、いらっしゃいませ~

    あら、妊婦さんでしたか!楽しみですね~♡
    ムリではないと思いますが、映画などと違って途中で退席しづらいから、考えちゃいますよね。
    ありがとうございます、次もがんばって書きますね~

    コメントありがとうございます。

  4. まみろう より:

    >ヨッコさん、いらっしゃいませ。

    あら、では初日にすれ違ったりしてるかもですね~。
    本当に何もかも美しくて素晴らしい舞台だと思います!

    ケーキセットまだ食べてない~、次こそ行っておきたいなぁ。
    だんだん見慣れてくるとこちらも余裕が出るし、出演者の皆さんもこなれてきますよね。

    楽しみましょうね♪

    コメントありがとうございます。

  5. あっこちゃん より:

    こんにちは。いつもながら楽しいレポありがとうございます。私はオーシーノ目当てで観たのがきっかけですが、まぁー他の役者さんの魅力的なこと!特にソンハくんが気になります(*^^*)さとっさんの黄色い靴下も似合ってました!楽しい舞台でしたよねー

  6. まみろう より:

    >あっこちゃん いらっしゃいませ~

    ホント、皆さんステキでしたね~!ソンハくんは次の舞台も観に行きたーい!
    素晴らしい役者さんがたくさんいるものですね~。

    コメントありがとうございます♪