時代小説も好きな私ですが、読む小説は圧倒的に江戸時代のもの。戦国時代のものは、ほとんど読んでないのです。
それは長年続いた「江戸時代」の、特に「江戸」での人々の暮らしが実にあっけらかんと開放的で無駄がなく、とてつもなく惹かれるから。
江戸時代って、言い方がヘンかもしれませんが「明るく突き抜けた絶望感」が満ちていたんじゃないかと思うんですよ。こうなりたい、ああなりたいという願望よりも、「今日楽しくて酒がうまけりゃもうけもん」といったような。もっとも、それは「江戸」の話であって、農村部はそんな呑気なことは言っていられなかったようですけどね。
それにひきかえ、戦国時代はめまぐるしい。人々は同じように笑ったり泣いたりして暮らしていたのだろうに、戦国武将とその周囲の人々にまつわる話が多い。特別な人の、特別な決断にはあまり共感できないので、面白いと感じることが少ないんですよ。
しかし、この人。
岩井三四ニ(いわい みよじ)さんの「はて、面妖」はちょっと、違いました。
この「はて、面妖」はタイトルに惹かれて読みましたが、面白い!と、いっても腹を抱えて笑う面白さではありません。
現代にも名を残す戦国武将たちにとっては、戦が全ての時代。でも、そんな人たちは当然ながらほんのひとつまみ。数多存在したであろう、弱小大名や百姓たちにとっては、知恵と切り替えが明日の運命を決める、という厳しくも情けない状況にあったはず。
この「はて、面妖」の登場人物たち、その激動の世を渡る運命の時、生き残りをかけた決断に迫られます。
そして本の帯にあるとおり、
「他人様の本心はわかりませぬ」
これね~、戦国時代だけの話じゃないよ(笑)
「なんで?どうしてそんなことするの??」
思わずツッコミたくなる決断の裏に、見え隠れする打算や欲や無償の愛。人の心は、単純なようで奥深い。身近にあること、いる人に投影できる場面がそこここにあります。
個人的には、新しい支配者「信長」に取り入ろうと絵を献上する御用絵師の話、「花洛尽(みやこづくし)をあの人に」が好きでした。最初の「地いくさの星」は、男女で読後感が全く違うと思いますね~(笑)
夫婦で読んでも、読後感は話し合わないほうがいいかもよ。
カテゴリ:本読む暮らし
2009年2月 6日 15:35 |コメント(0) |▲このページの上に戻る