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映画「夏の終り」を観てきました

愛の正体ってなんなんですかねぇ。

愛がないと人間らしく生きていけないとも思うけど、一方では薄気味悪くもある

だって愛で強くなることもあれば、愛のために堕落したりもするじゃん。

そのへんにゴロゴロあるはずなのに、自分の手に入るとは限らないし。

たぶん死ぬまで「愛とは何か」なんて説明できないだろうけど、愛してるって気持ちは知ってる・・・


まったくもって不思議なものじゃございませんか。

 

さてわたくし、「愛のむきだし」以来、女優の満島ひかりちゃんのファンでございます。あの映画のひかりちゃんはスゴかった。

で、本日はひかりちゃんが主演の「夏の終り」を観てきたんですけど、映画を観ながら

「愛っていったい、正体はなんなのかしら」

などと考え始めてしまったのですわ。

ちなみに、恋の正体は肉欲だと私は思ってる。快楽に対する期待を伴わない恋は無いもん。でも、愛はそうじゃないよね。

恋はどこまで行っても恋だけど、愛って時間や関係性によって変化すると思う。恋人から夫婦になって、子どもが出来て家族になっていく関係性なんて顕著だよね。最初は確かに異性愛だったはずだけど、そのうち家族愛とか慈愛とか人間愛とかに変化していくじゃない?

子どもに対する愛だって、細かい事言えば幼児期に注いでる愛と、思春期に注いでる愛は種類が違うんじゃないかと思えるし。

さてさて、ここからはネタバレ入りますんで、これから映画をごらんになる方はご注意くださいまし。

 

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「夏の終り」は紛れもなく異性愛の話、として話が進む。でも、ひかりちゃん演じる知子と小林薫さんが演じる慎吾の間に存在する「愛みたいな」ものと、綾野剛くんが演じる涼太との間に存在するものは違う。

知子と慎吾は不倫関係で、8年もの間、慎吾は奥さんと知子の間を行ったり来たりしてる。しかもきっちり週に半分ずつ。どんだけ几帳面な不倫だよ。

ふたりは関係を、別に誰にも隠してない感じ。作家である慎吾の担当編集者は知子の家に来るし、奥さんは知子の家の住所宛で、自分の旦那に手紙を出したりする。電話もかけてくる。

知子はそれまで、慎吾の家庭に対する興味や、奥さんに対する嫉妬心は感じていなかったように見える。でも、かつての年下の恋人だった涼太が再び目の前に表れると、奥さんと別れて自分と暮らす気が慎吾にあるのかどうかを考え始めるのね。

このへん、淡々と暮らしてるように見える知子の中に、情念がうずまき始めるのが見えて、観てるこっちは不穏な気持ちになってくる。

慎吾が自分の家で待っているのに、大雨の中涼太の家に走って行っちゃうとこなんて、

「ちょっと待て!なぜわざわざ、ぬかるみの深い方へ行くんだ!」

と諭してやりたい気持ちでいっぱいになりますわ。

涼太も涼太で、流される方へ流される方へと意気地なく生きてるようにしか見えないし、慎吾は慎吾で相当ズルい。弱々しくて優しげだけど、実は自分で何一つ決断してない。

観ているうちに、それぞれの男と知子の間にあるのは、どっちも愛じゃなく「惰性」と「執着」なんじゃないのか・・・という気持ちに。

知子のセリフの中にも、慎吾が家に帰るのは習慣だから仕方ない、ってのがあるんだけど、逆のことも言えるのよね。

終盤、慎吾の奥さんからの電話に出て、伝言を頼まれる知子の表情の変化と、だんだん暗くなっていく画面が、蓋をしようとすればするほど炙り出されてくる感情を表現してて秀逸でした。

結局、知子はどちらの男とも愛を育てることが出来なかったのね。好きだと思った気持ちは嘘じゃなくても、愛って勝手に育っていくもんじゃないし。自分の中で熟し錬成されていくものだし、相手に注ぐ愛が自分を映す鏡になるというか。

縛られずに楽だから。求めてくれて満たされるから。そんなんで続けてるだけの関係は、愛と思いたいけど愛じゃない。

ラストは新しい住まいで仕切りなおした知子のところに、慎吾から電話がかかってきて、小田原で会おうという事になる。

結局会えるのかどうか分からないまま終わるけど、ふと何かに気付いた知子の表情が、明るく自信に満ちていて、これからの知子の人生が暗澹たるものではなさそうな暗示。後味も悪くなくて良かったですわ。

↑↑↑↑↑ ここまで ↑↑↑↑↑

 

昭和な言葉遣いや美術の効果もあって、全体的に静かで美しい映画でした。音楽も少なく控えめで、すごく効果的だったと思う。

久しぶりに日本映画らしい美しい映画を観たなー、という感じでした。おすすめよ!

それにしても小林薫さんの色っぽいことよ・・・。昔、「ウンタマギルー」って映画を観て大好きになったけど、もう60歳過ぎてるのよね~。年相応に老けててしょぼくれてる(失礼)のに、立ち居振る舞いになんか放っておけない色気があって、相変わらずステキでした。

主演が肉感的な美人女優さんだったら、もっと印象の違った映画になったんでしょうね。情念渦巻く話で、下手すると

「身持ちの悪ィ女だな・・・」

で終わってしまいそうなところを、ひかりちゃんが儚げで清潔な印象なので、抑えた激情がにじみ出てくるようで良かったですわ。

題材が題材だけに、男性や若い人にはちょっと響きにくいかもね。私が観た劇場でも、お客さんは30代から60代くらいの女性ばっかりでした。

偏見かもだけど、私は女性の方が愛の種類は多く体得しているものだと思っているので、「夏の終り」は女性のための映画としてお勧めしたいと思います。

この勢いで、明日も映画を観に行くよ~!

 

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  カテゴリー:映画・観劇  



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