ジョニーは戦場へ行った

スポンサーリンク

友人から、「高校生の息子に読ませるのに、お勧めの本はない?」と聞かれた私。

はぁ~?私が健全な青少年の育成に役立つ本を知っているとでも~??

と返すと、「ま、そうだろうけど」との返事。

なんだそりゃ(憮然)

と、自分で言っておきながら同意されるとちょっと不愉快という身勝手な思いを抱えつつ(笑)それでも、自分の息子が育ったら読んでもらいたい本は何かな~と考えてみました。

たくさんあるけど、まずはドルトン・トランボの「ジョニーは戦場へ行った」ですかね。

原作の小説は1930年代に書かれていたそうです。

著者のドルトン・トランボは脚本家で、この「ジョニーは戦場へ行った」は元々映画化したくて書いたものだとか。

しかし内容を反政府小説と判断され、アメリカでは戦争が起きるたびに発禁処分にされていたそうですね。

そんな中で映画化できるわけもなく、小説が書かれてから実に32年後に自らが監督して映画化しました。

原題の「JHONNY GOT HIS GUN(ジョニーは銃を取った)」は、第一次世界大戦の志願兵募集キャッチフレーズだった「ジョニーよ銃を取れ」に対する皮肉だといわれています。

で、内容なんだけど、まごうことなき「反戦小説」。でも、戦場の描写は全く、といっていいほど出てこない。

戦争に行き負傷した青年「ジョニー」は、どうやら自分がかなりの重体であることに気づく。徐々に理解される、自分自身の現状。

ジョニーは延髄と性器を除いた全ての身体の機能を失っていた。

ジョニーの戦争に行くまでの平穏な生活の回想と、ただ肉塊として存在する現在。

次々と担当の看護婦は代わる中、絶望の中で自ら死ぬこともできないジョニーの前に、彼とコミュニケーションを取ろうとする看護婦が現れる。

看護婦とのコミュニケーションに成功したジョニーが政府高官に伝えた、彼の「望み」とは?

 

私はこれ、中学生の時に読んで大変なショックを受けました。

私が中学生だった1970年代後半は、ベトナム戦争が終結し、その大きな爪あとの情報が、日本の片田舎の中学生にもちらほらと見え初めていた頃でした。

戦争には勝者などいない。戦争で失うものは何か。何を求めて国は戦い、人は何を得るのか?

「正義の戦争」なんてありえないってことを、もうずっと昔から人は知っていたはずなのにね。

 

戦争が正義であるならば、ジョニーの負傷がそのための「名誉の犠牲」であるなら、彼の望みは果たされるべきだった。

フィクションとはいえ、戦争の姿と、戦争の建前を述べる人たちが取るであろう行動について、この話はどこまでも真実だと感じます。

私は早熟でひねくれた子どもだったけど、これを読んだ時は口もきけないくらいショックでした。

息子が育ったら読んでほしいと思っている一冊です。感想は別に聞かなくてもかまわない。

説明できない感情をもたらしてくれる小説は、感性が柔軟なうちにぜひ読んで欲しいと思うんですよ。

あ、もちろん大人の方にもね。未読の方は、ぜひ一度読んでください。

スポンサーリンク
まみろうチャンネル

コメント

  1. るんた より:

    毎日本を読んで、この世で一番好きな場所は本屋さんなあたくしですが、
    青少年こそ書を捨てて体を動かせと言いたいなぁ。
    そんで自分自身が文学のネタになるのよ。
    軽くしなやかな体をフルに使って、世界を体感し、美を表現したまえ。
    多少酷使してもすぐに回復する時期は本ッ当~に短いのだから。
    読書など、体が効かなくなった時の楽しみに取っておけばイイんです。
    すぐだから。
    体が自在に動かなくなるのなんて。ふっふっふ

  2. まみろう より:

    >るん~らっしゃいまし~
    あーでも、私もそれはそう思う。身体が動くうちにたんと動かしておきたまえ、とかね。若いうちに農作とかで身体を酷使ぐらいに動かしておいた方がいいぞと。
    んでも、感受性の強い時期に、ショックを受けるような文章にもめぐりあって欲しいんだよね~。感受性がニブるのもまた、すぐだから(笑)
    コメントありがとうございます。

  3. ジャングル1045 より:

    私もその本は中学のときでした。なんかショックでさ~。「アナタのしらない世界」を知ってしまったようで…。
    ウチの子供も高校生ですが、「スラムダンク勝利学」(辻秀一)だけは読め!と言っております。これはおススメです!

  4. まみろう より:

    >ジャングル1045さん、いらっしゃいませ。
    おお、同志!やはり中学生でしたか。思春期にはショックですよね~。
    スラムダンク勝利学??それはどんな本かしら?!ちょっと調べてみなくっちゃ!
    コメントありがとうございます。